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キムケンの大学サッカー応援コラム

キムケンの大学サッカー応援コラム2015年度⑬

北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。今回は1部リーグの最終節、札幌大(以下、札大)と教育大岩見沢校(以下、岩教大)の優勝を決める直接対決のレポートです。北海道大学サッカーの最高峰、いや北海道アマチュアサッカー最高峰の対決に、激しい雪が舞う悪天候にもかかわらず、岩教大人工芝グラウンドには多くの方が応援に駆け付けていました。

前節で札大が勝ち点差1で首位に立ち、2位岩教大は絶対に勝たなければいけない一戦。試合開始から、意地のぶつかり合いとなり、中盤での潰しあいになりました。最初の15分間は一進一退の攻防でしたが、「雪でピッチがスリッピーになり、パスミスが多く、札大の良さを出させてしまった」と岩教大の松本鴻太主将が語るように、フィジカルとスピードで勝る札大の激しいプレスを交わし切れず、セカンドボールも奪われ、ショートカウンターを受けピンチを招く展開となります。札大は奪ったボールを1トップのFW澤野康介選手(4年)に預け、彼がタメを作ったりドリブルでしかけながら、攻撃陣でシンプルにショートパスを回し、チャンスを次々と作っていきます。

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MF土谷流星選手がGKのパスをカットし1対1のシュートや、後半終了間際にもMF岡部航大選手(3年)がGKを交わしたシュートがポストに当たるなど、いつ得点を奪ってもおかしくない状況でした。対する岩教大は札大のプレッシャーにFWからDFラインまでが間延びして、ボールを奪っても蹴るしかなく、札大の攻撃を水際で止めるしかない状態に陥っていました。アンカーの奈良創平選手(3年)は「距離感が悪くて札大のプレッシャーをまともに受けてしまった」と振り返ります。
しかし、そのような中でも岩教大は落ち着きを失いませんでした。「相手が上だということは分かっていました。前半は途中から割り切ったサッカーをしよう」と守備に徹しました。ピンチの連続をしのぎ切ったのが、岩教大にとってはことのほか大きかったように思います。

今回の一戦は、普段の試合以上に先制点が大きく試合を左右するとみていました。岩教大は絶対勝たなければいけない状態。先制されたら2ゴール奪わなければいけない。札大は引き分けでも優勝という立場ですが、先制されると、なりふり構わずゴールを目指すしかなくなる。どちらかが先制点を取ると心理状態が大きく変わり、試合の流れがいつも以上に大きく動くからです。これが、優勝や昇格降格争いなどでのサッカーの面白さでもあります。そして、後半はその通りの流れになります。

ハーフタイムで、蹴るだけではなく、チームでコンパクトにして積極的に攻めることを確認した岩教大は後半に入ると流れを引き戻し、また膠着状態になりますが、後半開始3分、FW佐賀俊之輔選手(1年)のゴール前のドリブルを札大のDF廣瀬将太選手(4年)が引っかけて倒してしまいPKの判定が下されます。

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倒した場所はペナルティーエリア外のようにも見える、どちらともつかない微妙な判定でした。廣瀬選手も激しく抗議しますが、覆るわけはありません。このPKを蹴るのは松本主将です祈りを込めるようにボールを置き、思い切り蹴ったシュートはゴール左に突き刺さりました。

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このPKの時、松本主将はある選手を心に浮かべ蹴ったそうです。7月末に逝去された、かつてのエースFWである故近藤勝成さんです。譲れない思いを持って岩教大イレブンは戦っていました。試合前の集合写真も、背番号10のユニホームとともに納まり、絶対に譲れない思いがある松本主将と岩教大イレブンはベンチも応援も含めて喜びを爆発させます。

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札大にとっては不運な失点だったかもしれません。しかし、前述のとおり、松本選手のゴールから試合展開は一気に変化します。絶対に追いつく必要のある札大はより前がかりとなり攻撃の姿勢を強めます。しかし、時間はまだタップリとあるというのに、焦りが生じたのかミスが多くなり、また岩教大がセカンドボールなどにしっかり対処してきたため、思うような攻撃を仕掛けられなくなりました。「札大が前がかりになってバランスも崩していたから、サイドやDFラインの裏にスペースができたのでカウンターを仕掛けやすくなった」と奈良選手は振り返るように、その後は札大の攻撃を体を張って対処、岩教大が危険なカウンター攻撃とサイド攻撃を連発する展開となります。迎えた後半17分に、FW佐賀選手がゴール前に左サイドから中央にクロスを入れ、FW加藤大登選手(2年)が滑り込んで押し込み、貴重な追加点をゲットします。

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実はこの2分前に加藤選手はGKとの1対1のシュートを止められていました。「外した時は、頭が真っ白になったけど、ベンチの皆が『大丈夫だ!』と励ましてくれたので切り替えられました。ゴールは押し込むだけでしたが、決められて良かったです」と胸をなでおろしていました。

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焦りがさらに高まった札大は、ロングボールを放り込む攻めを繰り返しますが、前半は連動していた攻撃が、個人勝負の雑な攻めになってしまい、岩教大は逆に対応しやすかったはずです。今季の札大は勝つときは圧倒的ですが、負けている時や不利な展開の時に逆境を跳ね返せないというか、淡白になってしまう傾向を感じました。結局、猛吹雪を溶かすような熱い肉弾戦は岩教大が最後までしのぎ切り、6年ぶり2回目の優勝を決め、12月8日から東京などで行われる全日本大学サッカー選手権(インカレ)の出場を決めました。


優勝を決めた瞬間、松本選手はピッチにへたり込み号泣します。右ひざ半月板損傷で今シーズンを棒に振ったDF佐川晃大選手(4年)が真っ先に松本選手に抱き着きます。そして、周りの選手達も今まで耐えてきた涙をこらえきれませんでした。チーム、そして近藤さんのために、という思いの力が総合力、個人能力で勝る札大をわずかに上回ったのかもしれません。

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11勝3分けの無敗と堂々たる成績での優勝。それも今季はこれ以上ない苦難を乗り越えてのものですから価値があります。夏場に主力にけが人が続出し、近藤さんの出来事もあり、教育実習などでの離脱など、選手が集まらない時期が多かった。「下級生が4年生に対して気を使ってくれていました。これじゃいけないと思って、切り替えていきました」。正直、近藤がチーム戦術的にも中心選手だったこともあり、チーム力は上がっているとは言えません。それだけ、総理大臣杯時の強さは、勢いもあったとはいえ鮮烈でした。それでも「確かに、勝成が前でタメを作ってくれたので、サイドバックが高い位置まで上がって、パス回しができました。今はああいうサッカーはできない。でも、チーム力は落ちたとしても、逆に一体感や組織力は上がっているし、それはほかにないアドバンテージだと思います」と松本主将は胸を張ります。

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総理大臣杯に続き全国大会の出場を手にしました。大臣杯では環太平洋大学に3-3からのPK戦を制しています。昨年のインカレも初戦を突破していますし、3大会連続の初戦突破を期待されます。「大臣杯も押されてはいたし実力で勝ったわけじゃない。とにかく目の前の試合を全力勝ちにいきたいです」と松本主将は控えめに話します。持ち前のパスワークに逞しさも身に着けつつある岩教大。インカレが楽しみです。

札大は、個々のポテンシャルや選手層の厚さは間違いなく北海道トップです。1年生にも平塚選手のような、全国クラスに成長しうる逸材もいます。しかし、岩教大戦の前半と後半の試合ぶりがまるで変ったことが物語るように、今季はその力を融合し切れず強さともろさが同居していたように思います。ライバル岩教大には1分け2敗と勝てなかったのは悔しいでしょう。札大は11月8日に仙台で行われる東北リーグ2位とのプレーオフでインカレ出場をかけます。悔しさを糧にしてどれだけチームとしてまとまることができるか。ぜひ勝ってもらいたいですし、健闘を祈りたいと思います。

キムケンの大学サッカー応援コラム2015年度⑫

北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。10月24日は雨、そして25日は季節外れの雪と大荒れの天候に見舞われましたが、学生リーグはレギュラーシーズンの最終戦が北海道各地で行われ、優勝や入れ替え戦参入などをかけた悪天候を吹き飛ばす熱戦が展開されました。長いシーズンも過ぎてしまえば、あっという間ですね。今回は2部と1部の試合を2回に分けてレポートしたいと思います。1回目は2部リーグの函教大からです。

10月18日に北大医学部が敗北したことによって試合がなかった函教大の2部優勝、そして2010年以来、6季ぶりの1部復帰が決定した函教大。函館日吉グラウンドで行われた24日の北海道医療大戦でも気を抜かずに気迫のこもった試合ぶりを見せました。そういえば、試合前に円陣を組んで校歌を歌うのは私の見た限り函教大だけです。

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激しい雨の降る中、函教大は前線から激しいプレスをかけ、ボールを奪ってからはシンプルに縦パスでゴール前に攻め込みチャンスを作ります。スリッピーなグラウンド状況の中、ゴールマウスが見えたらミドルシュートをどんどんと打ち、積極性が目立ちます。そして迎えた26分にMF小池浩平選手(4年)が先制弾を決めます。また前半アディショナルタイムにもMF関川貴祐選手のマイナスの折り返しをまたも小池選手が今度は25mのミドルシュート見事に決め2-0で折り返します。

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この2点目が試合の流れを決定づけたといっていいでしょう。
後半もペースを握り続ける函教大。15分には攻撃を中心となるFW屋京典選手(3年)がドリブルシュートを決め試合をほぼ決定づける3点目を決めます。

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30分にはFW村中大騎選手(2年)がルーズボールを押し込み、38分にも下天摩達弥選手がダメを押し勝負を決めました。

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しかし、1、2年生主体の医療大もアディショナルタイムに意地の得点を返します。函教大もペースを落とさず、医療大も最後まで試合を捨てずに戦ったことで、大差がついても試合自体は非常に締まった戦いとなりました。最後の1点は医療大にとって未来への貴重な得点となったと思います。試合終了後、相手チームや審判団にあいさつした函教大は、前週から溜まった優勝の喜びを大爆発させます。

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豪雨にも関わらず田中和久監督の胴上げが始まります。

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無理もありません。かつては1部の強豪校だった函教大。しかし、国立大学の独立行政法人化が始まり、サッカー選手は岩教大に集まる流れの中で徐々に勢いは低下。2010年に2部降格となりました。翌2011年以来、1部復帰は函教大の悲願だったのですから。
1部に復帰するまで多くの苦渋を舐めてきました。2012年の入れ替え戦は苫小牧駒沢大に延長戦で1-2の惜敗、2013年は北海学園大に1-1の延長戦でも勝負が決まらずPK戦で敗れました。そして昨年はまさかの4位に沈みました。杉本大地主将(4年)は「素直にうれしいです。先輩の悔しい思いも背負っていましたし、自分たちの代で1部に上げたいと思っていました」と語ります。杉本主将が入部時、同期は全部でたった3人。1部昇格より3部に落ちることすら危惧されていたと言います。しかし現在4年生は7人と徐々に戦力もアップしていきました。

今季は杉本主将がキャプテンとともにプレーイングコーチも務め、皆で話し合いながらチーム改革を行いました。サッカーノートを作成する係や食事係、道具係など、多くの役職を作り、選手が主体的に関わる意識を強く持たせました。遅刻する選手には厳罰を科し、サッカー以外の生活の面から律することを求めました。

目指すサッカーも綺麗なサッカーではなく「自分たちは下手くそだということを自覚して、とにかく泥臭く縦に速いサッカーを心がけました」と副主将の屋選手。杉本主将も「技術で勝てないなら、とにかく体力負けしない、相手より走ることをモットーにして、練習でも走りこんできました」と言います。確かに今季の2部は、上位から下位まで、力差はあまり感じない団子状態のリーグとなっていました。そこで、函教大が勝ち抜けたのは、まさにハードワークとチームの一体感のたまものでしょう。サッカーに対するアプローチの厳しさが最後の勝負強さにつながったはずです。「試合を重ねるごとに成長してくれました。最後の2試合が今季で一番の内容でした」と田中監督も選手たちの成長に目を細めます。



来季は1部へと戦いの場を移します。今季2部から昇格した北星学園大が大量失点を喫し降格してしまったように、1部と2部には明確な力の差が存在すると言わざるを得ません。しかし、「後輩たちとも話しましたが、いかに失点せずに、負けないサッカーをできるか。相手に嫌がられるサッカーをしてほしい」と杉本主将は後輩たちに託します。屋副主将は「厳しいのは間違いないですが、函教大が1年で降格することはあり得ません。今から勝ち点の計算も始めていますし、マネージメントはできています。期待していてください」と強気な言葉を残しました。個の技術差は確かにあると思いますが、函教大伝統のハードワークとチームワークでどこまで1部に旋風を起こすことができるか。もちろん期待していますよ。

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最終戦も終了し、残りは入れ替え戦です。1部2部は北大医学部(2部2位)と北海学園大(1部7位)。2部3部は北海道文教大(2部7位)と札教大(3部2位)の対戦が11月1日に岩教大人工芝グラウンドで行われます。試合のレベルは別にして、生き残りをかけた一戦はJリーグを見てもお分かりのように、さまざまなドラマが生まれます。魂をかけた戦いには技術やレベルを越えた感動があります。4年生(医学部は6年生)や3年で引退を決めている選手にとっては泣いても笑っても最後の一戦。彼らがどのような戦いをするか、注目してください。

キムケンの大学サッカー応援コラム2015年度⑪

北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。秋も深まり、今年は雪虫が異常発生してますね!学生リーグもいよいよ最終盤。優勝や昇格、残留争いも決定し始めました。今週が各リーグ最終節で、すべてが決まります。今回は3部優勝し、創部4年目で悲願の2部昇格を決めた札幌大谷大学(以下、大谷大)にスポットを当てていきたいと思います。

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勝てば優勝が決まった14節の東農大戦をまさかの逆転負けを喫し、大谷大にとっての最終戦を迎えた17日の3部15節は小樽望洋台サッカー場で道情報大(以下、情報大)と対戦しました。すでに全日程を終了した首位・札教大と勝ち点差は1。引き分けでも得失点差で劣るため、絶対勝たなければいけません。

「とにかく、前半から飛ばして、点を取って、前半のうちに勝てる試合にしようと思いました」と村上一哉主将(3年)が言うとおり、大谷大学は主導権を握り、パスを回しながら、相手DFラインの裏に縦パスを積極的に送り込み、情報大陣内に攻め込みます。19分にMF横山慶士朗選手(3年)の縦パスに裏を抜けたFW佐藤誠恭選手(2年)が先制ゴールを決めます。

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これで、序盤はやや硬そうに見えた選手の動きもほぐれたのか、ゴールラッシュを見せます。先生の2分後にはMF丸猛選手(4年)のシュートのこぼれ球をFW神崎冬夢選手(2年)が押し込み2点目。28分にはオーバーラップした右サイドバックの中鉢優月選手(2年)にロングパスが通りそのままゴールまで持ち込み3点目。38分にはMF横山選手がミドルシュート決め、プラン通り、ほぼ勝負を決定づけました。

今季は昨年まで指揮を執った佐藤翔平元監督が海外でのサッカー指導をするため退任し、大東文化大学で指導していた鈴木尚宏監督が指揮を執っています。「攻撃サッカーという点では同じですが、今年は両サイドバックがかなり前に上がり、極端に言うとFW5人ぐらいの感じで攻めるようになった」(村上主将)という超攻撃型サッカーにシフトしました。この前半はまさに大谷らしさを体現していました。
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「なるべく多く選手を使いたかった」という後半は全部で5人の選手交代を行いました。その中で後半開始から入った三浦昴大選手(4年)が後半3分、DFラインの裏を抜けてゴール前にドリブルでも持ち込み、今季初ゴールを決めます。

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このゴールがある意味、この試合のハイライトでした。創部から苦労して部を作り上げてきた、元主将のゴールにフィールドもベンチもこの日で最もボルテージが最高潮になりました。

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チームの一体感を感じるすごく良いシーンでした。「大学最後で、優勝を決める重要な試合で、チームに貢献できたことはうれしく思います」と三浦選手は笑顔を浮かべます。その後も31分に途中出場の辻雄太選手(3年)が決め、最後は37分にMF矢野祐樹選手(2年)がGKが弾いたこぼれ球を押し込み7-0で完勝し、優勝と2部への自動昇格を決めました。8勝1敗、9試合で失点はわずか5という安定感でした。

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今季は3部優勝をという目標を明確に掲げスタートしました。鈴木監督は「練習への出席率が悪いのでやり方を変えた」と言います。授業を終わった後の練習だとアルバイトなどで、練習に参加できない選手もいるため、朝練習に変更、回数も週3日から5日に増やしました。午後7時半から約1時間から90分ほどの練習時間で、集中していかに数多くボールに関われるかに拘る中で、選手の集中力は研ぎ澄まされていきます。スマホのアプリ「LINE」で連絡網を作り、寝坊する選手を少なくしたり、寝坊しても練習には参加してボール拾い、グラウンド整備など、チームに貢献できるように形作っていきました。

自宅からグラウンドが遠い選手は朝5時起き、アルバイト翌日の朝練などは選手にとって厳しい環境だったに違いありません。それでも「キツイ経験をしているから、試合での悪い流れでも我慢できるようになった」(村上主将)といいます。朝練変更で、練習参加率は7割から9割になりました。「本当は100%にしないといけない」と鈴木監督は引き締めます。

創部4年目、北海道学生サッカー連盟に加盟してリーグ3年目の優勝は快挙と言ってもいいでしょう。現在の4年生が1年生の時に創部。1,2年生13人から、スタートしました。他競技出身で、サッカー経験のない選手もいました。丸選手は「僕にとってはそれも楽しかった。みんな上手くなくても真剣にやってくれたし、大谷のサッカー部を作り上げてくれました」と語ります。学連参加の2013年の3部リーグは全敗。0-15という屈辱を味わった試合もありました。昨年度は強豪・札幌大谷高校を中心に1年生が10人入部しましたが、優勝する力がありながらリーグ4位に終わります。「うまい選手とそうではない選手との間に意識のズレが出て、チームがギスギスした面はあった」と丸選手。そのような経験を糧にして今年の歓喜につなげました。

ここまで部が成長したのは4年生の力が大きかったでしょう。札幌大谷高出身の選手がほとんどとはいえ、大学ではサッカーをするつもりがない選手が多かった。彼らを再びサッカーに情熱を傾けるきっかけを作ったのは4年生のはずです。村上主将は「4年生に誘ってもらって、今の僕がいる。その存在は偉大でした。部活を作ってくれてスゴイと思います」と感謝します。

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最後まで残った4年生は2人。三浦選手は「部員集めから始まって、サッカー以外にも色々な人との出会いがありました。自分たちのやってきたことに誇りを持っています。(3年生以下も)みんなで協力して壁を乗り越えていってもらいたいです」と感慨深く話します。丸選手も「大学のサッカー部は自分たちで作らないといけない。サッカー以外でも、関わってくれるすべての人に感謝の気持ちを持ってやっていてほしい」と後輩にメッセージを残しました。

さあ、来季からは2部という新しいステージでの戦いが始まります。「2部の大学と試合をしてもある程度やれている。1年目から優勝を狙う気持ちでやっていきたいです」と村上主将。鈴木監督は「このチームはまだサッカー中心という選手が少ない。意識が変われば、かなりのポテンシャルを持っています。まず、意識をいかに変えていくかです」と慎重です。個人的にも個々の能力は高いので、2部でも楽しみを感じます。来季は有力選手が入ってくるという話も耳にしました。実力拮抗の2部でどれだけ旋風を巻き起こせるのか、今から楽しみです。

キムケンの大学サッカー応援コラム2015年度⑩

北海道大学サッカーサポーターの木村です。10月に入り秋も一気に深まりました。学生リーグも1部から3部まで佳境を迎えています。今年から1部から3部まで幅広く撮影に回っているので、各リーグの雰囲気など様々ですが、優勝争い、昇格降格争い、悲喜こもごものドラマがあり、レベルに関係なく気持ちの入った試合は面白いとも感じ、改めてサッカーの魅力、奥深さを味わっています。

さて、話を戻します。今回は4日に行われた、1部リーグ後期4節を撮影取材しました。今。注目されるのは、東海大学札幌校舎(以下、東海大)です。4節含め後期は2勝1分け1敗ですが、内容が秀逸で、後期の堂々たる主役となっています。

後期2節の岩教大戦は中盤の潰しあいに持ち込み、岩教大のパスワークとスピードを封じ込め、互いにシュート5本ずつと、最後はロスタイムにPKを決められましたが互角の勝負でした。同3節の札大戦も前半は打ち合いで2-2、後半は東海大のプレッシャーに札大が退場者をだし、東海大が決勝点を挙げ3-2とリーグ戦では札大から史上初勝利を挙げました。

これだけでも堂々たる戦いぶりです。そして、迎えた4日は3位の道都大戦でした。道都大は現在は札大、岩教大に水を開けられてるとはいえ、北海道大学サッカーの3強と言われるチームのひとつで、今季は復調傾向にあります。まさに、東海大にとっては「試練の3番勝負」の最後の一戦でした。逆に道都大にとっても、後期は北翔大に不覚を喫しているだけに、岩教大、札大についていくには絶対に落とせない試合になりました。

試合は前半から東海大が人とボールを動かしながらパスを回しペースをつかみますが、パスミスなどが目立ち、チャンスを作りきれません。道都大は奪ったボールを強力3トップに当て、スピードと個人能力を生かしたカウンター攻撃で応戦します。この試合状況自体が、これまでの力差がなくなってしていることが分かります。昨年までなら、パスを回して崩していたのは道都大なのですから。

後半に入って徐々に試合が動きます。道都大は縦パスからFW平川健太選手(4年)のスピード、FW田代薫彦選手(1年)の高さを生かし、圧力を強めます。迎えた18分、平川選手が左サイドからゴール前に切れ込みDF2人を交わし、GKが出てきた上を越える絶妙のループシュートを決めます。彼のゴールに向かうスピードとドリブルは注目に値します。サッカー強豪校ではない札幌とわの森高校の出身。隠れた逸材がいるものですね。

しかし、これで東海大が慌てることはありませんでした。「こちらのミスが多かったので、ミスを少なくすれば点は取れると思っていました」と語るのは中盤でゲームを作っていたMF大畑和輝選手(3年)。彼を中心にボールを散らしながら、中盤でしっかりパスをつないで押し込み始めます。迎えた35分、東海大の縦パスに対して道都大GKが前に出てきましたが、FW塩田淳が激しく詰めていたためか、ワンバウンドのボールをまさかのファンブル。塩田選手がスライディングでゴールに押し込み同点に。「相手GKは前に出てきた時、ミスをするかもしれないから、前に詰めろと言った通りにやってくれた」とは菅野学監督です。

これで東海大はさらに押せ押せに。道都大は落胆を隠しきれません。迎えた、アディショナルタイム寸前の44分。途中交代のFW鈴木隼斗選手(1年)が左サイドで相手を弾き飛ばす猛チャージでボールを奪取。ゴール前に持ち込みゴール中央へパス。MF児玉峻一選手(4年)が流して、大畑選手が押し込み、決勝点を挙げます。ピッチもベンチもベンチ外の応援の選手も歓喜の雄たけびを上げます。大畑選手はこれが、今季公式戦初スタメン。右足首のけがで今季はIリーグで調整していましたが、最初のフル出場で結果を見事に残しました。「僕は押し込むだけでした。自分が出た時に絶対負けたくなかったです」と笑顔を浮かべます。

これで、3強相手の試練の3番勝負は2勝1敗。「今年、やり方を変えてきたことが結果に結びついてきました」と菅野監督は語ります。昨年までの東海大の印象は豊富な運動量とフィジカルを生かしたハードプレスからのカウンターという印象がありました。勢いに乗った時は強いが、その逆もあり、ムラがあるチームでした。昨年の後期最終節にイケイケサッカーで圧倒し3-0とリードしながら大逆転負けを喫したことを思い出します。
しかし、今季はしっかりとした守備をベースにパスをつなぐサッカーを浸透させてきました。「とにかく今年はパスをつなぐためのポジショニングを徹底してきました。いかにスペースを作るか、相手のいやなところに顔を出すか。毎日カミナリを落としていました」と菅野監督は笑います。「パスをつないで、なおかつ走れないと勝つチームにはなれない」と夏場は走り込みも徹底させました。

その成果の一端が前期最終節の札大戦で出ました。結果は0-1ですが、札大相手にパスを回せて決定的なチャンスを複数回作り、互角の勝負に持ち込めたのです。「前期を良い内容で終われたのが、自信につながっていると思います」とは大畑選手。自信が確信にかわりつつある今、後期は結果もついてきました。上位チームとの対決が終わり、残るは下位6~8位との対戦。「去年までは、(良い結果を残しても)その後に落ちていたので、これからも全部勝って上を目指したい」と大畑選手。1~3年生が主体のチームなので、来年以降も楽しみが持てるチームとなりましたが、しっかりとした力をつけつつある今、これからが東海大の真価を問われる戦いになると思います。

道都大にとっては本当に痛い星を落としました。後半35分までリードしていながら、まさかのミスで一気に流れを持っていかれてしまいました。1位岩教大、2位札大が大勝し、残り3試合で1位と勝ち点7差、プレーオフに出場できる2位とも6差。次節の札大戦で敗れれば優勝はもちろん2位も消滅する絶対絶命の事態に追い込まれました。引き分けでも得失点差で事実上は難しい状況です。

道都大GK長倉優貴選手(4年)が試合後、人目はばからず号泣する姿が印象に残りました。4年生だけに、次に取り返すということは難しいかもしれません。しかし、人間、必ずミスをするものです。相手のミスを作り出し、ミスにつけこむのがスポーツの側面としてあります。そしてミスが多いチーム、個人が負けるのも常です。スポーツ(特に個人)を経験した人なら、自分がその負の役目を担ってしまったことはあるはずです。大多数の人間が失敗と反省の繰り返しの中で生きています。切り替えることは簡単ではないと思いますが、残り3試合、大学サッカー生活を燃焼してほしいものです。

▽写真説明
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後半18分、道都大FW平川が先制点
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後半35分、東海大FW塩田が同点弾
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同点弾に喜ぶ東海大イレブン
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後半44分、MF大畑の決勝弾に喜ぶ東海大イレブン
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⑤敗戦の責任を背負い込み号泣する道都大GK長倉

キムケンの大学サッカー応援コラム2015年度⑨

北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。5,6日に岩見沢教育大(以下、岩教大)人工芝グラウンドで行われた1部リーグで、1部の前期が終了しました。各試合において熱戦が展開されましたが、今回は各大学のキャプテンや監督に「リーグ前期を振り返って」「後期に向けて」の2点についてお聞きしたので、簡単にコメントを紹介します。

◎1位:札幌大(6勝1分)
橋本茂之監督「ご存知の通り、今季は失点が多いのが気になる点です。北大さんとの試合では3失点しましたし、いつ相手に主導権を握られるかわからない試合が続いています。その点が修正点だと思います。おそらく、トップからのプレスのかけ方にズレがあるのだと思います。ただ、総理大臣杯では岩教大に完敗しましたが、スタメンに4年生が多く、リーグ戦は教育実習やけが人でメンバーがそろわない中でも負けていないので、勝ち切れる力はあると思うので、そこは評価できると思います。2位の岩教大とは得失点差が相手の方がかなり多いので、後期はひとつも落とせない試合が続きます。緊張感を持って臨んでいきたいです」

◎2位:岩教大(5勝2分)
DF高橋純平選手(4年)「総理大臣杯は勢いで勝てていた面もあり、リーグ戦はまた岩教大のサッカーを作っていこうと皆で話してきました。しかし、リーグ戦が続くうちに少しずつ、コンビネーションや連携の面でズレが出てきました。それでボールを悪い形で奪われて失点が多くなっていきました。それに加えて、主力にけが人が続出して、札大、道都戦と勝てる試合を引き分けてしまいました。その後も色々とあって、総理大臣杯の全国大会1回戦の環太平洋大学戦を戦っている時も、地に足がついていない感覚でサッカーをやっていました。でも、2回戦の明治大学戦でみんなの気持ちが引き締まり、失うものがない状態で戦えたし、通用する面もあったので、雰囲気が変わりました。あの試合が復調のきっかけになればいいと思います。天皇杯(知事杯)は落としているので、リーグ戦は優勝したいです。教育実習でメンバーが揃わない状況が続きますが、だからこそ、もっとチーム力をアップする必要がありますし、控え選手が入っても流れが変わらない状況なので、競争しながら選手層を厚くする必要があると思います」

◎3位:道都大(5勝1分1敗)
坂本龍太郎主将(4年)「リーグ序盤はチームが完成していない状況でしたが、試合を重ねていくうちに、どんどん連携が高まってきて手ごたえを感じてきました。きょうの試合(2-1で北大に逆転勝ち)も5日に札大と岩教大が勝っていたので、絶対勝ちたい試合でした。苦しい試合を勝ち切れたことは大きいですし、取りこぼしていないことは大きいと思います。後期に向けてはやはり、うちは失点が多いのが修正点です。後半の最後の方になると、気持ちがズレる選手がいるので、そこは気を引き締めなければなりません。札大や岩教大との差はあまり感じていませんが、走ることと気持ちの面が少し足りないかもしれません。大人しいチームでしたが知事杯のあたりから皆が盛り上げてくれるようになっているので雰囲気は良くなっています。最低でも2位を目指したいですね」

◎4位:北大(3勝1分3敗)
久呉直也主将(4年)「(道都大1-2の逆転負けに)得点後もチャンスがあったし、決めきれないとこういう試合になります。パスをつないで自分たちのサッカーをしている時は良かったですが、後半は相手のプレッシャーがきつくなって、交わし切れずに蹴るだけになってしまいました。そうなると道都大の方がフィジカルは強いので厳しい試合になってしまいました。前期を振り返ると、今回のようにチャンスは作れるけど、決めきれないことが多く、そこが3強との差になっていると思います。札大(●3-4)や道都大とは接戦なので、力差はありますが、通用しているところもありますし、チャンスはあると思います。北大は自分の流れではない時に、シュンとしてしまう面があります。いつも自分たちのペースでは戦えないので、メンタル面も課題です。もう負けられないですし、後期は7勝するつもりやらないといけません」

◎5位:東海大(3勝4敗)
菅野学監督「(札大に0-1の惜敗に)今日は良く戦っていたし、勝ち点を取りたい試合でした。チャンスは結構ありましたが、最後の決定力がうちの課題で、後期に向けての課題ですね。練習でできていることが、試合ではプレッシャーを感じてできていない。それでも昨年と比較したら別のチームになっていると思います。昨年は大敗していた試合も接戦になっていますし、特にディフェンス面が成長しています。この1か月は走り込みや2部練習を多くして強化してきました。決定力勝負では上位には勝てないと思っているので、まず失点を減らさないといけません。その面で粘り強さが増していると思います。後期は上位をひとつでも多く食って上を目指したい。力の差はそれほど感じていませんし、面白い感じになってきていると思います」

◎6位:北海学園大(1勝1分5敗)
川村憲吾監督兼主将「きょうも4失点したように、とにかく守備が弱いのが課題ですね。マークがずれるし、連動していません。今季は札大(●1-2)や道都大(●0-1)と接戦できたように、1勝しかできなかった昨年よりは良くなっていますが、やはり守備が軽い。これは失点するな、という守備になってしまっています。きょう勝っていれば、残留争いでかなり安心できたのに、落としてしまいました。このチームは準備段階からが問題で、練習や試合前にドタバタしたりして自分たちで雰囲気を悪くしてしまっています。戦う準備をしっかりしないといけません。後期は緊張感と危機感を持って戦っていきます」

◎7位:北翔大(1勝6敗)
嶋村清美主将(4年)「戦術的には問題ないと思いますし、気持ちの問題が大きいと思います。失点すると、すぐに気持ちが切れて割り切れずに引きずってしまいます。上位より技術的には劣ると割り切ってやるしかありません。監督を信じていきたいです。また、うちはシュートが決まらない(リーグ最少の6得点)。決定機はある程度作れていますが、得点できない。シュートが決まれば、もっと盛り上がると思います。とにかく気持ちが落ち込んでいるので、ミーティングで話し合って修正していきたいです」

◎8位:北星学園大(1勝6敗)
藤根直道主将(3年)「(北学園大に4-3でリーグ初勝利に)後半に失点するのは分かってたので、とにかく前半に多くゴールを決めようと思っていました。負けることでモチベーションを保つのが難しいので、今回の1勝は大きいです。(今季1部昇格)総理大臣杯のころは1部でも通用すると感じていましたが、甘くありませんでした。フィジカルが強いしや技術が2部よりあるので、プレッシャーをかけられ、ボールを回されるので後半にバテて失点するパターンで守備が崩壊しています(リーグ最多33失点)。昨年の守備の中心だった選手が怪我で欠場していて、その穴を埋められていません。攻撃陣は上手い選手が多いし得点はできるので、前半はある程度勝負できるのですが、後半の守備が課題ですね。やはり1部の壁は感じています。勝負にこだわるチームと、楽しむチームの差が出ています。うちは楽しむことを優先していますし、練習も週3回ぐらい。夏場は練習量を増やし走り込みましたが、それだけでは試合のスタミナはつかないし差は簡単に埋まらないと感じています。楽しさの中にも厳しさが必要なことはチームとして感じています。後期は残留争いが現実的ですし、当該チームに勝つことと、上位のチームから勝ち点を奪っていきたいです」

キムケンの大学サッカー応援コラム2015年度⑧

北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。今回は8月22、23日天に行われた天皇杯の出場をかけた知事杯全道サッカー選手権の準決勝の札幌大(以下、札大)‐道都大、決勝の札大‐ノルブリッツ北海道戦を撮影、取材をしました。結論から言ってしまうと、決勝は北海道大学サッカー界の大物ルーキーであるMF平塚悠知(1年)選手が、大舞台で、その才能を北海道のサッカーファンに知らしめる舞台となりました。

昨年と同じカードになり、札大が1-2と敗れているため雪辱戦となる決勝は、「相手に自由にパス回しさせないように、初めから前からドンドン行きました」とゲームキャプテンのMF大友一就選手(4年)がいうように、試合開始から激しくプレッシャーをかけ、奪ったボールをシンプルに前に運び、札大が主導権を握ります。8分には大友選手のフリーシュート、29分にはトップ下の阿部太紀選手(4年)がドリブル突破でGKと1対1になるチャンスを造りましたが決められません。

札大が押し気味のまま試合が動いたのは前半42分、阿部選手の左クロスをファーサイドにいたFW下田速人選手(4年)が頭で落とし走りこんだ平塚選手が左足でシュートを打ち、相手DFに当たり角度が変わりゴール左スミに吸い込まれました。前日の準決勝では途中出場だった平塚選手はこの日は右の攻撃的MFで先発し、この日はどちらかというと守備で貢献していましたが、大事な場面で貴重なゴールを決め、珍しく、喜びを爆発させました。

後半も札大のプレッシャーで足が止まり気味のノルブリッツに対して主導権を握ります。チャンスを造りながら、追加点を奪えない札大でしたが、後半31分、左サイドから途中出場のFW澤野康介選手が中央にマイナスのパスを送り、そこにMF土谷流星選手(4年)がさらに右に流しフリーの平塚選手に渡ります。「中央に切れ込んでシュートを打とうと思ったけど。中には人がかなりいたので」と、とっさの判断で切り替えして外側にボールを運び相手DFをかわし、利き足ではない右足で豪快にゴール左隅に突き刺しました。ロスタイムにPKで1点を返されましたが、内容は札大の完勝で昨年のリベンジを果たすとともに3年ぶり14度目の優勝を飾りました。29日に天皇杯1回戦でコンサドーレ札幌と対戦します。

殊勲の平塚選手は学連の公式戦でもかなりゴールを決め、前日の道都大戦でも途中出場ながら決めていましたが「大学に入って、ゴールにこだわってきました。1試合2ゴールは今年初めてですし、高校時代を通じても初めてかもしれません」と興奮気味に話します。今回はゴールで注目されましたが、彼の良さはそれだけではありません。卓越した戦術眼と判断の速さ、それを実行できるボールを止める、蹴るという高い基本技術です。彼は大谷室蘭高出身で、昨年の全国選手権にも出場しています。その時の中心選手、FW新田裕平選手(1年)も札大に、ボランチ深井祐希選手(1年)は岩教大に入学し、彼ら3人が、大学サッカー界の大型ルーキーとして学連の公式戦を盛り上げています。このようなブログで個人を持ち上げることは避けてきましたが、サッカー好きの方には、学連の公式戦で彼のプレーを見て頂ければきっと良さが分かると思うので、取り上げることにします。

平塚選手は中学時代から評判の高い選手でありました。私も高校時代の試合を観戦したこともあります。本人もプロ志望でしたので、まさか北海道の大学に入学するとは考えていませんでした。しかし彼は「北海道からプロになりたいというこだわりがあるんです」と名門・札大を選びました。

ただ、不明を恥じますが、大学に入ってから序盤の公式戦を撮影していても、良い選手ではあるが、ものすごいとまでは感じなかったというのが正直なところでした。今だから分かりますが、一言でいうと、彼は普通の選手と見えているところが違います。俗に言うグラウンドを上から見ている、俯瞰で見えているようなパスを出しますし、見えているがゆえにポジション取りも巧みです。それゆえシーズン序盤は、途中出場も多かったこともありましたし、ほかの選手とのパスのタイミングが合わなかったり、受け手が反応できなかったり、というシーンが目立ったので、印象にそれほど残りませんでした。

しかし、連係が深まるにつれて、彼がボールを持つと周りも信じて走り出し、そこに正確にパスが通るようになり、チームがよりスムーズに回るというパターンが多くなりました。撮影していて、彼のダイレクトパスは「こんなところが見えているのか」と感嘆させられるパスも多くなりました。また、パスを預けた後は、気が付くとスルスルと相手にとって危険なスペースに入っていることも多く、それがゴールの多さにもつながっています。

なぜそのような俯瞰で見ているようなプレーができるのか。彼は「僕にとってはボールを持っている時より、持っていない時の方が頭を使います」と話します。常に周りの状況を観察しながら先を読み、ボールを受けた時のあらゆる選択肢を考え、パスを受ける直前に最良の選択肢を「反射的に決める」といいます。ボールのないときの動きはサッカーの重要な要素ですが、それを普通の感覚とは違う高次元でこなしています。彼の姿勢を見ると、ボール保持しているときもそうではない時も背筋をピンと張ってルックアップし首を振りながら周りの動きを冷静に見定めています。木島コーチも「彼は現代サッカーに必要なものを持っている。僕も勉強になる部分があります」と絶賛します。チームメートも彼を「先生」と呼んでいるそうです。

唯一の課題はフィジカル面の弱さ。これを4年間の大学サッカーで強化できればプロは十分に狙えるでしょう。周りのレベルが高ければ高いほど、互いの戦術眼がシンクロし彼の潜在能力がより引き出され、さらにすごいプレーが見られるはずです。「パスも出せて、タメを作れて、ゲームも作れて、ゴールも狙える。何でもできる選手になりたいです。まだミスが多いので、ミスをなくしたい」と向上心は留まることを知りません。天皇杯はコンサドーレ相手に彼がどれだけ通用するのかが楽しみになってきました。「個人でやってもかなわない。皆と連携して、なるべく前を向いて相手から離れてプレーできるようにできれば」と話します。

何より、大学サッカーもこれからリーグ戦が佳境に入りますので、サッカーファンの方にはぜひ、平塚選手のプレーを始め、大学生の熱戦を見て頂きたいと思います。こんなことを書くと、本人に重圧になるかもしれませんが、プロを目指すのであれば、否が応にも注目されますし、プロのプレッシャーは現在の比ではありません。結果を出せばそれだけ周囲の期待は大きくなります。すべてを受け止めて「レフティーモンスター」として成長してもらいたいと思います。

最後は準決勝の道都大について振り返ります。技術的な差はありませんが、フィジカル面で札大に劣り、セカンドボールの奪い合いで負け、ショートカウンターを受け劣勢に「陥りました。しかし、さすがに前線にテクニックにある選手が多く、カウンター攻撃からFW平川健太選手のドリブルで反撃していました。それでも札大の運動量に押し込まれ31分に先制され、後半11分に追加点を奪われ、26、27分にも立て続けに失点し0-4と大敗ムードも漂いました。しかし、ここから道都大は不屈の反撃。32分に縦パスから平川選手が決め、37分にもFKからまたも平川選手が押し込みます。さらにロスタイムにも縦パスから裏を抜けた平川選手が決め、怒涛のハットトリックを達成し、猛反撃を見せました。札大が大量点で気を抜いた面もあるものの、見事な反撃でした。

「4点取られて、一旦気持ちが切れたけど、よく3点返したと思う」とMF坂本龍太郎主将(4年)は振り返ります。2年連続無冠である道都大ですが、リーグ戦では札大に1-3で敗れたものの、岩教大には2-2と引き分け、それ以外は取りこぼしがなく3位につけていて復調しつつあります。札大や岩教大との差を「気持ちの部分と運動量の差があると思います」と坂本主将。札大や岩教大に負けない攻撃力がありながら、伝統的にチーム全体のディフェンスに甘さがあり失点が多く、強さをもろさが同居している現状です。「うちは上手い選手が多いけどみんな大人しい。もっと勝ちたい気持ちを出してリーグ戦を戦っていきたい。3年連続無冠なんて受け入れられない」と坂本主将は意気込みます。チームの一体感を強化し、守備面を整備できれば2強に肉薄できるはずです。

夏休み中はIリーグが集中的に開催されましたが、9月5日から1部リーグが再開されます。札大の知事杯優勝で北海道アマチュアサッカーの覇権はまた大学サッカーに戻りました。加えて総理大臣杯1回戦を悲しい出来事を振り切って突破し、明治大学にも0-1と大健闘した岩教大、そして復調しつつある道都大。彼らが中心なり、熱いリーグ戦が1部から3部まで展開されることを楽しみにしています。

▽写真説明
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①先制点を決め喜びを爆発させる平塚と札大イレブン
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②後半31分には右足で追加点を決める平塚
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③貴重な追加点に喜ぶ平塚
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④優勝を喜ぶ札大イレブン
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⑤平塚は準決勝・道都大戦は途中出場。後半26分にゴールを決めた
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⑥準決勝・札大戦で道都大FW平川はハットトリックの活躍

キムケンの大学サッカー応援コラム2015年度⑦

北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。北海道もうだるような蒸し暑さが続いていますが、皆さん、いかがお過ごしでしょうか?しばらくは熱中症には十分注意して暮らすことが必要なようです。

今回は、7日から大阪で行われる総理大臣杯に出場する岩教育大(以下、岩教大)を取り上げます。同日の1回戦で環太平洋大学(中国)と対戦する岩教大ですが、この1戦は、おそらく彼らのサッカー人生の中で、これ以上ない思いを抱いて挑む戦いとなります。
お聞き及びの方もいるかもしれませんが、先月末、同大学のFW近藤勝成さん(4年)が急逝されました。あまりに突然のことで越山賢一監督はじめ、苦楽を共にした選手、関係者の皆さんは今だに受け入れられない思いでいると思います。4日の練習を取材しましたが、選手には笑顔は見られるものの、松本鴻太主将(4年)は「みんな切り替えないといけないという感じだけど、空元気です」と正直に話します。

近藤さんはコンサドーレ札幌U-18から岩教大に入学、1年時からレギュラーをつかみ取り、不動の点取り屋となって活躍し、北海道選抜にも毎年選出されていました。そのテクニック、得点感覚は北海道アマチュアサッカー界ではトップクラスと言って差し支えありませんでした。私も学連にお世話になって2年以上たちますが、彼のテクニカルで良い意味で狡猾なプレーを撮影するのは楽しくもありました。突然の訃報に驚きと悲しみしかありません。遅きに失しましたが、この場を借りてご冥福をお祈りさせて頂きます。

替えの効かない存在を失った岩教大。戦力的にはもちろん、精神的なダメージは大きいでしょう。それでも、悲しい状況に陥っても試合は待ってくれません。2日には知事杯3回戦で社会人リーグのノルブリッツ北海道と対戦。これがトップチームにとって近藤さん不在の最初の公式戦となりました。試合前には黙とうが行われました。「冷静になろうと思っても、どうしても感情が先走ってしまってぎこちない戦いになった」と松本鴻太主将(4年)は振り返ります。前半に先制され、後半終了間際、FW浅利俊哉選手(2年)ゴールで追いつきましたがPK戦で敗れました。

松本主将は「正直、まだサッカーに集中できていない」と言います。無理もないでしょう。1年時からセンターハーフとFWという関係の中で、「自分でいうのもなんですが、僕と勝成はホットラインでした。勝成の動きをいつも見ていたし、勝成も僕を見ていた。3年ぐらいからアイコンタクトだけで動きが分かったし、あうんの呼吸ができていました」と語ります。松本主将だけではなく、岩教大サッカー部全体に心の穴がポッカリと空いた状況かもしれません。この状況を外部の人間が忖度することできません。総理大臣杯に向けてあまりにも難しい状態とは言えるでしょう。

以前から、岩教大には逆風が吹いていました。総理大臣杯の北海道予選は新システムの4-3-3が機能し、無失点の圧倒的強さで優勝。アギーレ監督時の日本代表を彷彿させるような、縦パスとサイドチェンジでグラウンドを大きく使い、3人4人が連動して攻撃に絡む切り替えの早さと運動量で相手に付け入るすきを与えませんでした。しかし、リーグ戦が始まるにつれて、勢いは尻すぼみに。各大学に研究され、暑くなるにつれて運動量は落ち、小柄なチームだけに、札大戦(1-1)や道都大戦(2-2)では相手のロングボールや高さを生かしたフィジカル勝負に巻き込まれ、ラインは間延びし苦戦します。俗にいうインテンシティー(プレー強度)が落ち、総理大臣杯でのダイナミズムは失われました。

加えてけが人が続出します。先月12日の札大戦中に左サイドバックやウイングの佐川晃大選手(4年)が右ひざ半月板損傷で今季絶望の重症。ほかにもアンカーの奈良創平選手(3年)が右足首ねん挫、スーパーサブのFW岩田健吾選手(4年)も故障で総理大臣杯出場は無理と、主力選手に不運が重なりました。心身ともに満身創痍で、全国大会を迎えるのです。

逆に言えば、今がどん底で上がるしかないと言えるでしょう。「これで、チームがひとつにならないなんてありえない。勝成や佐川のためにも、北海道大学サッカーの新しい歴史を造りたいです」と松本主将は気丈に話します。今回に限っては相手や酷暑云々より、己との勝負になります。勝ってほしい、頑張ってほしいとは言えません。こんな状況はサッカー人生で経験することはまずないでしょう。しばらくは、1試合1試合が自らの魂に語りかける戦いになると思います。究極の悲しみと逆境を乗り越えられた時、岩教大の皆さんにとって、新しい何かが見えてくるのかもしれません。

最後に、改めて近藤勝成さんのご冥福をお祈り致します。合掌。

▽写真説明
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①総理大臣杯にむけランニングする岩教育大
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②ミニゲームを行う岩教育大

キムケンの大学サッカー応援コラム2015年度⑥

北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。いやあ、一気に北海道も暑くなりました。
11日は学生リーグ3部、12日は同1部を撮影しましたが、両日とも摂氏30度を超える、うだるような暑さの中での撮影はさすがに過酷でした。試合をした選手は尚更キツかったでしょう。

撮影していて思うのは、今年の道央地域は今だけではなく、総じて湿度が高いです。天気情報を見ても朝晩は湿度90%を超える事が当たり前になっています。湿度が高い日に顕著になりますが、陽炎のような空気の揺らめきがハッキリと分かるほどです。朝から日中にかけて気温が上昇するにつれ地面の水分が蒸発して起こる現象です。このゆらぎがひどいと、望遠レンズで遠方のプレーを撮影する際、ファインダー上ではピントが合っていても、写真をパソコンに表示すると、ピンボケのようなボヤけた写真となっています。12日の撮影はそれがことのほかひどかったです。

湿度が高いと当然、大量に発汗しますし、脱水症状を起こしやすくなります。実は北海道では特殊な今季の気候を頭に入れて、学生の皆さんも練習や試合で水分をしっかり補給し、熱中症には十分に注意して、夏場の熱戦を乗り切ってほしいと思います。

余談が過ぎました。今回は1部リーグ前期の天王山となる1位・岩見沢教育大(以下、岩教大)と2位・札幌大(以下、札大)の試合をレポートします。両校とも4戦全勝で直接対決を制すれば、一気に有利となる大事な一戦。この暑さの中では、技術や戦術以上に、気持ちやモチベーションの高さが勝負を分けることが多いです。

序盤から主導権を握ったのは札大でした。総理大臣杯決勝では0-4と衝撃的な大敗を喫しただけに、この試合に挑む意気込みは大きかったのでしょう。フィジカルとスピードで勝る札大は、ロングボールから激しくプレスをかけてセカンドボールの奪取で上回り、マイボールをシンプルにつないでゴール前に迫り、シュートまでつなげます。力は互角ながら、この試合に限っては、1対1の激しさ、動きだしの速さ、コーチングなど、わずかずつ札大が上回っていました。

対する岩教大はいつもなら、ハイプレスを運動量やサイドチェンジで交わしながら確実にチャンスを作っていくのですが、今回は札大の勢いに呑まれたのか中盤の3人にボールが収まらず、後手に回り、中盤を省略するサッカーに付き合う形になりました。アンカーの奈良創平選手(3年)が右足首ねん挫で欠場したことにより、展開を落ち着かせることができなかったのも大きかった気がします。

そのような展開の中でも、ボールを奪った時は縦パスからDFラインの裏を取り、前半15分に小泉洋生選手(3年)が見事な切り返しで相手DFを交わし惜しいシュートを放つなどチャンスは作ります。不利な状況でも、連動したサッカーで反撃できるところが、今季の岩教大の強みです。

ですが、全体的なペースはやはり札大。中盤で数的優位を作り、アンカーの周りのスペースをうまく使い、サイドからチャンスを作ります。31分にはMF池田一起選手(3年)のシュート、37分にはFW新田裕平選手(1年)のヘディングシュートがいずれもバーを直撃するなど、決定的なシーンを演出しますが、決定機を決められず、前半をスコアレスで折り返します。

札大の勢いを水際で跳ね返す岩教大という展開でしたが、後半1分、いきなり試合が動きます。小泉選手の縦パスに裏を抜けたFW近藤勝成選手(4年)が、コントロールされたシュートをゴール左隅に決めました。

このゴールから、試合は肉弾戦となりました。パワーとスピードを前面に出してゴールに迫る札大。これまでの綺麗なサッカーを捨て、勝ちを拾うために泥臭く激しく守りカウンター攻撃を狙う岩教大。互いにライバル同士譲れない気持ちがぶつかり合う戦いとなり、ヒートアップしていきます。テクニックの応酬も面白いですが、今回の戦いの原点のような試合も私は好きです。

押されながらも守る岩教大が勝利を手に仕掛けたアディショナルタイム、途中出場のFW稲田浩平選手(3年)が右サイドを突破し、グラウンダーのクロスを入れ、これを池田選手が押し込み、執念の同点弾を決めます。やはりライバル同士の一戦、ただでは終わりませんでした。

手に汗握る熱戦は引き分けに終わりましたが、うなだれる岩教大と笑みを浮かべる札大と、勝敗が決まった試合のようなコントラストが印象的でした。橋本茂之監督が「決定力のなさがうちの課題です。相手のサイドチェンジや、中央の部分をケアできれば、もっと支配できました」というように、決定機を決めれば、札大が勝てた試合でした。岩教大も、悪い内容でも勝ち切れたなら、成長を感じられる試合でしたが、終了直前に追いつかれたということで痛み分けと言えるでしょう。

MF松本鴻太主将(4年)は「札大の蹴るサッカーは怖くはなかったけど、セカンドボールが拾えなかった。相手のシュートミスに助けられましたが、うちもチャンスで決められなかった」と疲れ切った表情で振り返りました。越山賢一監督も「この内容なら引き分けで御の字。うちのサッカーを研究されていた」と話します。今季の開幕から完成度が高かった岩教大の4-3-3に対し、各校が研究して、徐々に戦術を高めつつあり、差が縮まってきていると言えるでしょう。総理大臣杯からの差をしっかりと詰めてきた札大。持っている個人能力は岩教大以上のものがあります。今季も、2強のライバル物語は続いていきます。

最後に、この試合は後半かなりヒートアップし、熱くなりすぎるあまり、フィールド内外からジャッジに対する文句やヤジが目立ちました。確かに明らかなミスジャッジもあり、審判がゲームコントロールできているとは言い切れませんでしたが、不快に感じる文句が多かったことは、注意点として指摘しておきます。

▽写真説明
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①後半1分、岩教大の近藤選手が先制点を決める
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②近藤選手を祝福する岩教大
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③途中出場の札大、稲田選手が同点ゴールにつながるクロスを入れる
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④同点ゴールを決め喜ぶ札大の池田選手

キムケンの大学サッカー応援コラム2015年度⑤

北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。
しばらく、記事のアップが滞っていました。今季は写真撮影を重点的に行っているので、どうもおろそかになっていますが、実はこれまでより、現場に足を運ぶ機会が増えています。6月13日から学生リーグ、同月14日からIリーグも開幕し、大学サッカーは熱戦の真っただ中です。7月5日までで、1部~3部、そしてIリーグと取材することができました。1部に隔たっていた以前と比べ、ある程度、リーグ全体を俯瞰で見ることができるようになりましたので、ここではIリーグ、1部を中心に、感想などを綴っていきたいと思います。

皆さん、Iリーグとはご存知でしょうか? コアなサッカーファンでもよく知らない方もいると思います。Iリーグとは「インディペンデンスリーグ」の略です。大学サッカーは全国9地域で総理大臣杯、リーグ戦を行い、それぞれ全国大会で覇を競っていますが、各大学のサッカー部、特に1部などのチームは部員が多く、出場機会に恵まれない部員も多数います。そのような選手にも出場機会の確保や競技力の底上げを図るため、2003年、全日本大学サッカー連盟と関東、関西の学連が中心となって創設されました。

北海道の学連は2004年にプレ大会を実施、翌2005年から正式に開催されています。北海道でも部員が50~60人を超えるチームは複数あり、このような大会は控え選手にとって貴重と言えるでしょう。出場資格は学連加盟校の登録選手で、登録数が25人以上なら1チーム、40人以上で2チーム、55人以上で3チームが登録することができます。また、大会や試合の運営はすべて学生で行います。審判も主審を含めすべて学生審判で構成され、運営に携わることにより、自主自立の精神を養うことも目的とされています。11月には全国大会も開催されているので、モチベーションも高まります。

今大会は12チームで争われ、8月に夏休み期間中に集中して開催されます。9月に行われる決勝リーグ(上位4チーム)が目玉です。筆者は5日の北翔大のIリーグ3節の北翔大A‐北海学園大、北翔大B‐北大Bを撮影しましたが、選手の表情は真剣そのもの。特に北翔大などは技術的にはトップの選手と劣らない選手も多く、決してレベルは低くないリーグと感じました。

ですが、試合の審判が学生という気安さがあるのか、ラフプレーが目立つ試合もありました。貴重な試合のため気合が入り熱くなるのは当然ですが、選手のモラルに対する自覚が求められます。これは学生審判の毅然たるジャッジも必要ですし、なあなあにならずに互いの信頼関係を築き、フェアプレーを実践することが大会の価値を高めることにもなります。「Iリーグはラフになりがちなので、それが課題」と語る学生さんもいました。とはいえ、前述したように、選手の熱さ、真剣さは十分に伝わってきました。8月はIリーグを集中的にウォッチする予定です。

さて、1部リーグですが、4節を終え、岩見沢教育大(以下、岩教大)と札幌大(以下、札大)が全勝で前評判通りの力を発揮しています。総理大臣杯と比較すると各チーム、完成度が高まってきていますが、特に岩教大の抜群の安定感が光ります。選手の個性と、今季から取り入れた4-3-3のシステムがマッチングし、完成度は他チームより1枚上を行っています。チームの連動性と、中盤の自在な動きと運動量、攻撃における3人目の動き出しがオートマチックになっているので、相手チームは守備で捕まえることができない状態に陥っています。総理大臣杯も1か月後に迫っていますし、気の緩みさえなければ、大崩れはなさそうです。

対する札大は、個々の能力は岩教大より上だとすら思いますが、試合ではチームとしての力をいまだに発揮できていないように思います。4日の北翔大戦も、前半13分に先制しながら追いつかれ、後半は焦りだしたのか、蹴りあいに巻き込まれてしまった印象です。後半25分に突き放しましたが、安定感にやや欠ける試合ぶりでした。木島敦コーチなどは「このままでは今年はタイトルを取れない」と危機感をあおり続けています。12日の5節は両チームが対戦、前期の天王山となります。総理大臣杯決勝での0-4という屈辱を札大がリベンジできるか。はたまた返り討ちか。サッカーファンの皆様、北海道アマチュア最高峰の一戦をご注目下さい。

2、3部もレベルの差はあれど、昇格をめざし、熱い戦いが展開されています。1部以上に、学生だけで運営されているチームが大半で、良い意味で爽やかな空気を感じます。2部の第2節、旭川医大‐樽商大の試合は、旭医大のサッカーの原点のような、気持ちの入ったプレーと一体感に感銘を受けたりもしました。試合運営に関しても、私が観たところでは、しっかりと成されていると思います。もちろん、各チームで意識の差はあるでしょう。しかし、多少のミスや不慣れな面があっても、学生が一体になって作り上げていく。これが学連の良さだと、今回、各リーグの運営からみさせてもらい、つくづくと感じました。

▽写真説明
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①Iリーグ北翔大A‐北海学園大戦
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②Iリーグ北翔大B‐北大B戦

キムケンの大学サッカー応援コラム2015年度④

北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。今回は札幌厚別公園競技場で5月30、31日に行われた総理大臣杯の準決勝、決勝を取材しました。

決勝は3年連続、札幌大(以下、札大)と岩見沢教育大(以下、岩教育大)の対戦となりました。準決勝でも大差で勝ち上がってきた両チーム。これまでの2年は試合内容も結果(13年1-0、14年2-1)も札大に凱歌が上がっていました。札大は昨年、リーグ戦も全勝と北海道大学サッカーの絶対王者に君臨。対する岩教育大は小気味良いパスワークを誇りながらも、札大のスピードとフィジカルにねじ伏せられ、リーグ戦でも勝てないままできました。北海道アマチュアサッカー界でも最高峰の力を持つライバルのぶつかり合いは、一方にはこれ以上ない歓喜の、一方には衝撃的な結果が待っていました。

札大が4-2-3-1、岩教育大が昨年までの4-4-2から今期から4-3-3という布陣で開始された試合は序盤こそ、札大がFW阿部太紀(4年)のスピード抜群のドリブルでGKと1対1のチャンスを作りましたが得点につながらず、徐々に落ち着きを取り戻した岩教育大が安定した守備でボールを奪うと風上を生かしてCBやアンカーから両ウイングに鋭いロングフィードを送り札大DFラインの裏を狙いチャンスを作ります。DFラインが徐々に下がった札大はラインが間延びし、岩教育大のインサイドハーフにも前を向いてボールを持たれ、苦しい展開になります。

迎えた18分、右サイドを突破したFW加藤大登選手(2年)のクロスのこぼれ球をMF小泉洋生選手(3年)が体勢を崩しながらも押し込み先制します。「とにかく今年は札大に勝つことがひとつの目標。気持ちで押し込みました」という、3年間で初の貴重な先制点です。呪縛を解き放つゴールにフィールドのイレブンもベンチスタッフも大喜び。今季の岩教育大は自慢のパスワークに加え、サイドチェンジを使ったワイドな展開で相手を動かし、シンプルな両サイドへのロングフィードでラインの裏を狙う展開を融合し、相手に脅威を与えています。

俄然勢いづいた岩教育大に対し、先制点の10分後、右サイドバックの井端純ノ輔選手(2年)が左ウイングの志田尚弘選手(3年)へピンポイントのサイドチェンジ。ゴール前まで持ち込み、グラウンダーのパスを受けたFW近藤勝成選手(4年)が、冷静に相手DFの間合いをはずし冷静に決め、追加点を挙げます。今季の岩教育大らしい素晴らしい展開で、ここまで綺麗に崩し切るゴールはそうは見られないファインゴールでした。これで試合の流れは完全に岩教育大に傾きます。

札大は、昨年までのフィジカルの強さを生かした激しいプレスが機能しません。個々にプレッシャーをかけてもチームとして連動せず、岩教育大の技術と運動量に翻弄され、ボールの奪いどころが統一されていない印象があります。攻撃では逆に前からプレッシャーをかけられ、前線に効果的なパスを供給できず、1トップの阿部選手のスピード頼みとなります。予想外の展開に焦りの色は明らかでした。

後半も基本的な展開は変わらず、19分、志田選手のシュートをGKが弾いたこぼれ球を詰めていたアンカーの奈良創平選手(3年)が決めダメ押し。36分には左CKから途中出場のFW岩田健吾選手(3年)が頭で決め、4-0という予想外の大差で岩教育大が3年ぶり3回目の優勝を飾り、8月7日から大阪府で行われる全国大会の出場を決めました。

今大会4試合を無失点21得点と抜群の安定感で制した岩教育大。その要因は守備の強化と攻防一体のバランスの良さにあります。昨年まではDFラインからボールを回そうとしても出しどころがなく、バックパスを多用して、あげくにミスからボールを奪われ、失点を招いていました。また前線の運動量も足りず、前からプレスをかけられず、ラインが間延びすることが多かった。

しかし今季はCBの高橋純平選手(4年)とコンサドーレ札幌の深井選手の弟の深井祐希選手(1年)の160㎝代の小兵2人が奮闘。的確なコーチングと、守備では確実なビルドアップと競り合いでも強さ高さで相手と互角以上に渡り合い、攻撃でもロングフィードで最初の起点となっていました。

「今大会でも競り合いはほとんど負けなかったので、そこは自信になります。去年のインカレで早稲田大に負けた時、コーチングの大事さ、自分から前を動かしていかないとダメだと感じました」と話します。アンカーの奈良選手、インサイドハーフの小泉選手、松本鴻太主将(4年)も豊富な運動量で動き回り、DFラインと連携し、MFとDFの間を使わせない、アンカーの両サイドをケアするなど、3月の関西遠征から約束事や連携を強化してきました。FWも3トップにしたことで前線からプレスしやすくなり「トップの近藤さんが(守備の)最初のスイッチを入れてくれるので、守りやすくなった」(高橋選手)と話します。

札大や準決勝の東海大などフィジカル面の強さやスピードで押してくるチームに対しても、パワープレーに持ち込まれる前に攻め手を潰していました。4試合で被シュート18本の少なさがそれを物語ります。良い守備があるからこそ効果的な攻撃につながります。高い位置で奪ったボールはシンプルに前に運ぶ、ディフェンスがセットされた時はパスを回して様子を見ながら、機を見てスイッチを入れる。硬軟自在で、現状では隙なしという印象を持ちました。「全国までまだまだ課題が多い。慢心せず、リーグ戦からしっかり戦っていきたい」と奈良選手は気を引き締めました。
対する札大は、試合後は茫然としている選手が多く、ショッキングな王座転落を物語っています。「歴史的な大敗ですね」と振り返る選手もいました。今大会は圧勝続きにスポイルされていましたが、失点が多く、少々、覇気がないように見えていました。格下の相手にもボールを持たれた時はゴール前まで運ばれシュートを打たれています。「ボールの取りどころを統一できず、スキを作ってしまっています。チーム状態は良くないです」と準決勝終了後、種元啓介主将(4年)は話し、決勝で不安は的中しました。就職活動などで、練習に選手が集まらず、紅白戦もできない時期もあったとのこと。不安定な状態では今の岩教育大には負けるという現実を突き付けられました。

どん底からの出直しとなりますが、13日から始まる1部リーグまでに切り替えて熱戦を見せてくれることを期待します。現状では決勝の2強が実力的に抜け出していますが、各校(もちろん2,3部の皆さんも)もリーグ戦を盛り上げてほしいと思います。

▽写真説明
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①前半18分MF小泉が先制点を決める
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②先制点にベンチ前で喜ぶ岩教育大
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③後半36分FW岩田が頭でチーム4点目のゴール
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④田中和久学連会長から表彰状を受け取るFW近藤
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⑤優勝カップを掲げる岩教育大イレブン

キムケンの大学サッカー応援コラム2015年度③

ご無沙汰していました。北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。
北海道も桜前線があっという間に過ぎ去り、サッカーの季節がやってまいりました。
大学サッカーも16日から「第39回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント」の北海道大会が開幕しました。16、17日に1、2回戦、23日に3回戦、24日に準々決勝が行われ、30日に札幌厚別公園競技場で行われる4強が出揃っています。詳細は学連HPでご確認下さい。

今季は、ほころびが生じ始めていた学連の自主自立運営を立て直すため、加盟条件をグッと厳しくした、「新生・北海道学生サッカー連盟」として真価を問われる年になります。その最初の運営大会が総理大臣杯です。1回戦から様子を見てきましたが、これまで大きなトラブルはなく、当番校の皆さんも責任を持って運営していたと感じます。ただ、2回戦で文教大学が試合前のマッチミーティングに間に合わず、棄権となってしまったのは大きな反省材料です。

8強まで道のりをざっと振り返ると、まさに順当。3回戦で1部チームが登場し、勝ち上がった2、3部のチームがこれに挑む形となります。サッカーには番狂わせがつきものですが、
今回、残念ながらアップセットは起こりませんでした。昨年2部3位の北大医学部が同1部4位の道都大に1-3、2部6位の北海道医療大(以下、道医療大)が1部6位の東海大に2-4と健闘はしましたが、やはり、2部と1部の実力差は大きいと言わざるを得ませんでした。

ですが、2、3部でも、あくまで楽しんでプレーすることに重きを置くチーム、クラブとして規律を持っているチームなど、それぞれの個性が明確で面白かったです。この辺が、高校までの体育会的な体質と違うところでしょう。大学サッカーは監督不在の自主運営のチームも多く、いい意味での「緩さ」が特徴かもしれません。この緩さが一部のモラル低下を招いた面は否定しませんが、「やらされてる感」から解放された、個性の豊かさは大学サッカーの得がたい魅力だとも感じます。

話しを戻します。8強はすべて1部同士の対戦となりましたが、注目したのは今季1部に昇格した北星学園大(以下、北星大)と札幌大(以下、札大)の一戦です。札大は言わずと知れた、総理大臣杯、リーグと全勝で完全制圧した絶対王者です。北星大がどこまで通用するかが見ものでした。

結果から言うと2-7と北星大の完敗でしたが、見せ場はタップリありました。前半から札大のスピードとフィジカルの強さに押し込まれる展開でしたが、ゴール前でしっかりと守り、ボールを奪った時には、細かいパスワークでゴール前までボールを運び、単発ではありますがチャンスを作ります。道内の強豪高出身の選手が多く、個々人のテクニックは1部相手に十分通用しています。

後半は打ち合いになり、4分に先制されましたが、10分にゴール前の混戦からこぼれ球からFW北本勇人選手(3年)が決め同点に。1分後に突き放されましたが、13分の藤根直道主将(3年)がゴール中央から直接FKを決め、再度同点に追いつくまさかの展開に。その後、20分に再び突き放されてからは、ガス欠となり、次々と失点してしまいましたが、十分に存在をアピールしました。

藤根主将(3年)は「楽しかったです」と敗北にも笑みを浮かべました。「札大が強いのは分かっていましたが、パスを回せたし、やれる部分もありました」と理由を語ります。現在、部員は約40人で学生のみの運営です。現3年生が20人と大量入部したことで、昨年の1部昇格につながりました。「まずは楽しんでやること。蹴るサッカーはしたくない」とパスサッカーを1部でも貫くつもりです。ほとんどボールを使った練習で、ランニングや筋力トレーニングはあまりしていないということ。1部のプレッシャーの中で、どこまでスタミナが持つかは大きな課題ですが、嵌った時のパスワークは1部でも脅威となりそうです。「リーグでは4位を目指したい」と藤根主将。リーグ戦前期は6月13日に開幕し、北星大は初戦で再び札大と対戦します。台風の目となれるかどうか、楽しみです。

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後半10分、同点弾を決めたFW北本
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同14分、FKを藤根主将が決め再び同点に
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藤根の同点弾に喜ぶ北星大

キムケンの大学サッカー応援コラム2015年度②

北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。今回は4日に札幌大学キャンパスで行われた北海道学生サッカー連盟(以下、学連)の総会を取材しました。
総会は学連の理事会で決められた総理大臣杯や学生リーグ、Iリーグなど1年のスケジュール、昨年度決算報告、今年度予算、ほかさまざまな規則等を承認するための大事な会です。毎年、学連の理事と、参加する全大学の主将や主務などの関係者が集まり開催しています。また、総理大臣杯の組み合わせ抽選も行われ、今シーズンの始まりが目前であることを予感させるイベントともいえるでしょう。

今年の総会のテーマは「意識改革」と言えるでしょう。冒頭から、緊張感のある雰囲気で、田中和久会長が昨今の学連のモラルの低下により各関係方面からの評判の低下を招いていることを報告。学連の現状が月刊誌に掲載されたことも紹介しました。そのうえで「事実は事実として受け止め、改善に向け積極的に取り組まなければならない。『全日本大学サッカー連盟宣言』の理念を履行してくことが求められています。サッカーだけではなく1人の人間としての行動にも強い倫理感を持って臨んでほしい」と異例の提言を行いました。

前回のコラムで書いたように、試合における審判への異議、マナー違反、3部リーグにおいて人数が11人揃わない試合が常態化する、運営において会場のゴミを拾わない、決算の杜撰さなど、様々な意識の低下が、道サッカー協会や各地区協会、審判員からの批判や苦情を招いていました。そのため、今年度は参加条件を厳しく設定し、違反行為には厳罰を持って臨むことを決めました。参加校にはこれまで以上に覚悟と責任を持った自主運営を求めています。金銭の流れの仕組みも一新し、越山賢一理事長も「学生のみなさんに厳しい条件を受け入れてもらうのは忍びない気持ちだが、モラルやマナー違反に対しては学連や指導者がその都度、何度でも注意させてもらいます」と厳しい表情で繰り返し強調しました。

その、厳しい条件を受け入れて参加を決め、今季も熱戦を展開してくれる大学を紹介します。

●1部 札幌大、教育大岩見沢校、北大、東海大、北翔大、道都大、北海学園大、北星学園大
●2部 教育大旭川高、北大医学部、教育大函館校、文教大、北海道医療大、小樽商科大、札幌医科大、旭川医科大
●3部 教育大札幌校、札幌学院大、札幌大谷大、北海道科学大、北海道薬科大、北海道情報大、酪農学園大、帯広畜産大、教育大釧路校、釧路公立大、東農大

以上の27校になります。このうち東農大は昨年度の総理大臣杯の直前の棄権、学連への多額の未納金があるなどの理由で、当初は参加を認められていませんでしたが、総会までに未納金を納付し、参加の登録選手15人以上(うち審判員登録4人以上)を揃えられ、また、学連への参加を強く希望したため、総会で緊急動議にかけられ、満場一致で参加が承認されました。ただし、昨年度棄権した大臣杯は参加できません。昨年は34チームの参加でしたから、いかに下部リーグにおいて部員不足が深刻な問題なのかがわかります。より大学サッカーの人口やすそ野を広げていくため、学連には魅力的な運営と試合をするための成長が求められています。

学連の櫻岡直也事務局長(北大3年)は「総会の雰囲気をみても、まだまだ参加各チームに、(厳しい1年という)意識の高さは感じられないですが、時間をかけてやるしかないでしょう」と気を引き締めました。改めて言いますが、学連は学生を中心とした自主自立の運営を目指し、サッカーの試合だけではなく、各参加校が責任を持って試合等の運営に当たることにより、人間的な成長も目指す組織です。今季は学生理事の北大生5人に、事務局に付属する道央圏の大学から選ばれた幹事を加えた15人が中心となって運営をしていきます。学生だけに失敗や至らぬところもあるでしょうが、「新生・北海道学生サッカー連盟」がどのように生まれ変わっていくか、皆さんには厳しくも温かい目で見て欲しいと思います。そして何より、学連の競技レベルは北海道アマチュアサッカー最高峰のレベルを誇ります。5月16日の総理大臣杯1回戦から始まる、学生たちの熱戦を存分に楽しんでもらいたいと思います。

▽写真説明
①総会の冒頭であいさつする田中会長と真剣な表情の参加者
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②総会では学生幹事も紹介
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③総理大臣杯の組み合わせ抽選の光景
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キムケンの大学サッカー応援コラム2015年度①

ご無沙汰していました。北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。いよいよ北海道の大学サッカーも新シーズンが始まります。新シーズンを前に、3月29日に学連の理事会が札幌市の教育大学サテライトで開催され、2015年度の活動に関しての最終の打ち合わせが行われました。ここで決めたことは4月4日の総会で正式に承認されます。

15年度は、学連にとって大事な1年になることは間違いありません。総理大臣杯が5月16日から、リーグ戦は1部、2部が6月13日、3部が同月14日から開催予定となりました。試合はもちろん楽しみで、熱戦を期待していますが、実は15年度は学連参加チームが大幅に減ることになります。2014年度は34チーム(1部7、2部8、3部WEST10、EAST9チーム)、今季は3部が7チーム減少し1リーグに統一され、27チームとなりました(1部8、2部8、3部11)。

何故かというと、少子化等による部員不足に悩む下部リーグにおいて、出場選手が11人揃わないという試合が常態化し、担当するはずの試合で副審に従事できない。さらにこれは学連全体だと思いますが、会場の後片付け、ゴミの放置、試合においても審判への異議が目立つなどが指摘されていました。

このままでは、各地区サッカー協会や、審判員の方々から学連や各大学に対する信頼の低下を招き、運営に深刻な問題を生じかねません。そのため昨年11月の理事会で、これまで広く門戸を開いてきた体制から、厳しい加盟条件を課し、それに同意できたチームに加盟を認めることにしました。その条件は、4月の総会時に審判員4人以上を含む15人以上の選手を確保できること。さらに、1シーズンを通して学連の趣旨に基づいた自主運営を責任持って活動できること。この2点を挙げ、まさに「覚悟」を求めました。そのため現時点では7チームの減少ということになりました。また、各大会で、選手9人以下の人数でプレーした場合は厳しいペナルティーも設けられました。

外部から見た限りでは厳しいと思われるかもしれませんが、学連はサッカーだけプレーできればよいという組織ではありません。学連の事務局を北大の学生理事の皆さんが担っているように基本的には、学生中心の運営で自主自立を促す組織で、主体的に運営に関わることによって、人間的な成長も目指しています。試合レベルでは北海道のアマチュアサッカー最高峰の学連が信頼を取り戻し魅力ある組織となり、学連でサッカーをしたいと思う選手を増やすためには、メスを入れなければならないという苦渋の決断だと理解しています。もちろん参加校が一気に減るというのは外から見れば異例の事態なので、疑問や批判はあるでしょう。しかし、何かを変えるには痛みも伴いますし、何かを得るには何かを失うこともあります。この決断が正しかったと思われるように、学連に関わるすべての人々にとっては「覚悟」の1年になると思います。

身内的な話になって申し訳ありません。とはいえ選手の皆さんにはサッカーに関しては純粋に楽しんで勝利に向けて切磋琢磨してもらいたいです。少なくとも1部の試合は面白い試合が多いので、サッカー好きの方には観戦して欲しいと本当に思います。15年度も学連や学生の皆さんと協力しながら、大学サッカーの魅力をより多くの皆さんに知ってもらえるよう、当ブログなどで伝えていけたらと思います。よろしくお願いします。

P.S 理事会では1部リーグ優勝校に授与される優勝旗が披露されました。学連の藤山和夫会長から寄贈された立派なもので、学生の皆さんにとってもモチベーションアップにつながるでしょう。その写真もアップしておきます。

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理事会で真剣な表情の学生理事の皆さん
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藤山副会長から寄贈された1部リーグの優勝旗

キムケンの大学サッカー応援コラム2014年度⑧ 札大

北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。
今回は11日から関東各地で行われる全日本大学サッカー選手権(以下、インカレ)に出場する、札幌大学(以下、札大)をレポートします。道内では総理大臣杯優勝、大学リーグでは全勝優勝と盤石の強さを見せつけた札大。しかしながら、北海道で一強と言える存在でも、昨年のインカレでは新潟経営大に3-5、今年の総理大臣杯では2-7といずれも大量失点を喫し、1回戦で敗れています。インカレでは関東5位の国士舘大学(以下、国士大)と対戦します。今回こそ、初戦の壁を破れるか。カギは①コンディショニング②試合におけるメンタル面、この2点が特に重要となるようです。
まず①のコンディショニング。寒冷地の冬場のコンディショニングの難しさは皆さんが経験していると思います。札大もリーグが終了した25日以降も調整を続けていますが「コンディションは少し落ちている状態」と木島敦コーチは言います。これまで、大谷室蘭高や、コンサドーレ札幌U-18と練習試合を行っていますが、今月13日からの大雪で、以降はジムワークと体育館での練習を余儀なくされていました。それでも19日の練習ではアンフィニMAKIの人工芝サッカー場を借りて、雪かきを行ってフルコートを使うことができ、30分ハーフの紅白戦を行えました。今後、週2回同サッカー場を借りて練習し、12月1日から大阪合宿で3試合、最終調整を静岡県御殿場市で行い、本番を迎えます。「合宿でいかにコンディションを挙げられるか」と木島コーチは話します。

やはり、公式戦が約1カ月半もなく、そして雪などで屋外の練習も制限されている。それは毎年のことで、雪国の宿命です。与えられた環境でいかにチーム、そして個人が意識を高く持てるかが大事です。菅原康介主将は「普段の生活から自覚を持って行動できるか。それは皆にも言っています」と話します。練習が思い通りできなくとも、自主トレを行ったり、風邪をひかないよう気を付けたりと、個人でも体調を整えることもできます。菅原主将もチーム練習外でもトレーニングを行っているといい「自分の体は一番、自分がわかる。そういう部員は増えていると思うし、そういうチームこそ勝てると思う」と話します。
長い遠征も注意が必要です。昨年は合宿中に主力選手がウイルス性の風邪で隔離されるなどのアクシデントが発生しました。長い集団生活はメンタル面や体調維持も難しいでしょうし、気の緩みも出てきておかしくありません。「試合のための遠征なのに、旅行気分というか、それ以外のことも求める印象は、総理大臣杯でも感じました。学生の場合、学校やや普段の生活面からしっかりやれる人間がいい選手になるし、試合に出られる。そこらへんを感じて欲しいし、言っていきたい」と木島コーチも強調します。
②の試合におけるメンタル面について。北海道では無敵でも全国では力を出し切れていないのはなぜか。昨年のインカレも、今年の総理大臣杯でも立ち上がりに浮き足立ち、立て続けに失点し、敗戦を招いています。「全国だから相手も強いけど、力的には通用すると感じています。ただ、相手の情報もないので、様子を見ているうちに受け身になってしまった」と菅原主将は振り返ります。それだけに、試合の入り方が重要で、立ち上がりからいかに主導権を握れるか、気持ちで負けないかが大事です。「北海道でやっているように、強い気持ちを持って、最初から自分たちでドンドン仕掛けていきたい」と決意を語ります。木島コーチも「このままじゃただの内弁慶で終わってしまう。たとえ結果が出なかったとしても、全国で出た課題の克服、これまでやってきたことが出せているか。自分たちのサッカーをやらせてあげたい」と意気込みます。本番まであと3週間。心身ともにいかにピークを持っていけるか。北の王者・札大が全国でも輝けるかはこれからにかかっています。

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①練習前に木島コーチの指示を受ける札大イレブン
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②紅白戦を行う札大

キムケンの大学サッカー応援コラム2014年度⑦ 理事会

北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。
今回は16日に札幌市内の教育大学サテライトで行われた、北海道学生サッカー連盟(以下、学連)の理事会を取材しました。
この日の理事会は平成26年度の活動の総括、反省、来季に向けての協議事項などが
午前10時から夕刻まで話し合われました。

学連はどのように運営されているか、ご存じない方も多いかと思いますので、簡単に説明しますが、基本的には学生が中心となった自立運営を目指しており、試合会場の予約、調整、審判の斡旋、各地区サッカー協会との折衝、各大会の運営、広報等を、学生理事を中心に行っています。理念としては、当HPに掲載されている全日本大学サッカー連盟宣言を読めばわかると思います。ただサッカーをプレーするだけでなく、参加チームは運営、審判等にも関わり、その中で社会人としても責任ある行動を求められています。もちろん、学連の会長、理事長、各担当理事など、彼らの責任者として各大学の指導者が任命されていますが、あくまでも学生が中心としての自主運営となっています。

現在の学生理事は北大の1~3年生のサッカー部員から選出されており、今年度は飯田拓事務局長(3年)、村越洋魚さん(3年)、桜岡直也さん(2年)、福原知樹さん(2年)の4人で運営してきました。理事会では、来年4年生となる飯田さん、村越さんが一線を退き、来季は桜岡さんが新事務局長、1年生の石橋優太さん(埼玉・川越高、リーグ担当)、伊大知朋輝さん(東京・本郷高出、リーグ担当)、本岩直樹さん(兵庫・神戸高出、総理大臣杯担当)が新理事に就任することが内定しました。正式には来春の学連総会で承認されます。

フレッシュな新理事3人は「良いリーグにしてみんなにサッカーをやってもらいたいです」(本岩さん)、「全員が楽しくサッカーができる運営を目指したい」(石橋さん)、「裏方となって学生がいい気持ちでサッカーができるように頑張りたいです」(伊大知さん)と熱意ある抱負を語りました。

ただ、来年の事務局はある意味、覚悟を持った運営をしていかなければならないでしょう。今回の理事会の議論を聞いていて、学連のあり方が、大きな転換点を迎えていると感じました。少子高齢化により、どこの大学も学生の減少に悩まされています。当然、サッカー部も部員の確保が難しくなってきます。3部リーグでは11人そろわずに試合を行うチームが常態化していること。1部リーグですら、今季は苫駒大が部員不足等の理由で退会し、今後も復帰の目処は立っていないようです。加えて、学生のモラルの低下なども指摘されていました。一部ですが審判に対する異議や、試合の運営校が使用した会場の掃除や用具撤去を忘れる、ゴミの問題などで苦情などが出ているようです。
審判に関して、確かに私も取材をした範囲では、異議や文句が多いなと感じた試合もありました。主審でも学生や若いレフェリーの方もいるため、年齢が近く文句を言いやすいという土壌もあると思います。ただ、これは選手側だけではなく、審判のジャッジにも問題があるでしょう。大学のみならず、日本サッカーがよりレベルアップしていくには、選手や指導者はもちろんのこと、審判の技術向上も必須だと個人的には思います。それでも越山賢一理事長は「仮にジャッジが下手だったからといって、文句を言っていいわけはない」と強調します。その通りです。文句を言ってもカードをもらうだけですし、得はありません。会場の問題に関しても連絡の不徹底や行き違いなどがあると思いますが、繰り返していくと各大学や学連の信用低下につながるだけです。この問題については学連だけではなく、各チーム責任者の指導も求められます。

このようなことから、これまでの多くの大学に参加して欲しいという、広く門戸を開いたスタンスから、来季は各チーム、責任と覚悟を持って運営に関わり学連に参加できるか、試合人数に加え審判を確保できる部員を揃えられるかで、登録を制限していく方向にかじを切る予定です。ドラスティックな変更なので賛否両論あると思いますが、改革をするには痛みも伴います。事務局長となる桜岡さんは「労をいとわず、学連一丸となって良い準備をして、問題が起きてもみんなで話し合って、ミスを補いあいながら運営していきたいと思います」と荒波を乗り切る決意を語りました。
理事会では厳しい指摘を受けていましたが、これだけの規模で学生5人の運営というのは厳しいし限界があると私も思います。本来ならば、彼らをまとめてマネージメントできるプロパーがいれば組織は回ると思いますが、学生の手弁当運営でこれまで頑張ってきました。今年度は各大学の学生で幹事会(15人)を立ち上げ、様々な問題や改善点を話し合っているようで、学生からも変化しようとしています。道のりは厳しいと思いますが、臆せずに少しずつでも良い組織になるよう頑張ってほしいと思います。

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①来季の学生理事のメンバー。前列左から石橋さん、伊大知さん、後列左から本岩さん、桜岡さん、福原さん
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②理事会で真剣な表情の学生理事のメンバー

キムケンの大学サッカー応援コラム2014年度⑥ プレーオフ

北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。
今回は来月11日から開催される全日本大学サッカー選手権(以下、インカレ)の出場権を賭けた北海道リーグ2位の岩見沢教育大(以下、岩教育大)と東北リーグ2位の東北学院大のプレーオフをレポートします。
昨年はわずか2本のシュートしか与えなかったものの、その2本が失点につながり、後半アディショナルタイムに決勝点を決められるという悪夢を経験した岩教育大。その試合の出場メンバーの多くが今季のレギュラーとしても残っています。今年はホームの同大人工芝サッカー場が舞台。部員以外にも多くの在校生や関係者が応援に駆け付けた中、昨年の悔し涙を笑顔に変えられるかが注目されましたが、大一番で今季のベストゲームと言える試合を展開しました。

前半の序盤は互いに様子見もあり互角の展開。前線のスピードを生かし、特に左サイドからドリブル勝負を仕掛ける東北学院に対し、岩教育大はしっかりと対応、1人が抜かれてもその後をカバーリングでしっかりケアし、チャンスの芽を摘みます。フィジカルに勝る相手に対してもCB、ボランチを中心にセカンドボールや球際の勝負でも互角に応戦します。そして奪ったボールはシンプルにつなぎ、後ろから前線を追い越してDFラインの裏を抜け、そこにアーリークロスや縦パスを入れるカウンター攻撃が効果的で、チャンスを作りました。
そして迎えた24分、そのカウンターからバイタルエリアでボランチの奈良創平選手(2年)がシュート。相手DFに当たって、ペナルティエリア内に詰めていたFW伊藤巧貴選手(4年)にこぼれてきました。それを右足で冷静にゴール左に決め、待望の先制点を挙げました。「奈良のシュートは遠いので入らないと思っていたから、コースに詰めていたらこぼれてきました。いいカウンターが決まりました」と振り返ります。
しかし、ここから前半終了までは東北学院が押し込む時間帯に。前述したとおり、左サイドを中心にドリブルを積極的にしかけ、クロスをどんどん入れてくる攻撃に岩教育大はズルズルとDFラインが下がり、セカンドボールを奪えなくなります。「流れが悪くなった時にズルズル下がってしまう。今年の悪い所が出かけた」と葛西大主将(4年)は言います。しかし、ここで、この試合絶好調のGK橋本周平選手(4年)が好セーブを連発します。相手のフリーのシュートをことごとくセーブし、危険なクロスにも反応の良い飛び出しでパンチング、セービングでゴールを割らせません。「今日は、練習から調子が良くて、体が動いてくれた。どんなシュートでも止めてやろうと思っていました」と橋本選手。この時間帯をしのげたのが、岩教育大にとっては非常に大きかった。

試合はまったく予断を許さない状況でしたが、後半4分、伊藤選手の浮き球のパスにFW近藤勝成選手がDFラインの裏を取り冷静にマークをフェイントでかわし、左足のシュートで待望の追加点を挙げます。序盤に突き放す理想的な展開です。10分にもカウンター攻撃からMF笹原隆平選手(4年)のパスからボランチの奈良選手が中央から決め3点目。ほぼ試合を決定づけました。しかしながら、観ている方としては時間帯が早いこと、東北学院のドリブル中心の攻撃にDFラインの裏を崩されることも多く、まだ分からないという緊張感はありました。それでも、全員の体を張った守備と絶好調のGK橋本選手が好守を連発し、得点は許しません。耐えしのいでいるうちに、27分に奈良選手がドリブルでペナルティエリアに切れ込みGKも交わし、中央で完全にフリーとなった途中交代のFW志田尚弘選手(2年)にパス。これを難なく決め、4点目。これで完全に東北学院大は意気消沈し、声も出なくなりました。44分にはこの日ボランチで小兵ながらも体を張ってディフェンスし、ゲームをうまくコントロールしていた小泉洋生選手(2年)が決め、アディショナルタイムには、またもGK橋本選手がフリーのシュートをスパーセーブし、場内は拍手喝采、予想もしなかった5-0の大勝で「岩教育大祭り」は幕を閉じました。

全員が「今季のベストゲーム」と振り返る一戦となり、大量得点の派手な試合でしたが、力の差ははっきり言ってわずかで、得点を取れる時間帯や試合の流れ、そしてチャンスを確実にものにできるかが勝負を分けたように思います。シュートは東北学院大が15本と1本多く、決定機の数では東北学院の方が多かったように思います。その意味では最後まで全員で踏ん張れた守備が勝因だと思います。「MVPはGK橋本とDF井端」と越山賢一監督が振り返るように、橋本選手はチームが苦しい時に好セーブを連発し、右サイドバックの井端純ノ輔選手(1年)は相手のストロングポイントの左サイドからのアタックをうまくケアしていました。

今季は主力にけが人も多くリーグ後期初戦で北大に完敗を喫するなど、チームとしてバラバラになりかけていた時期もありました。「4年生がチームをまとめきれず、勝ちに対しての執着が足りなかった」と葛西主将。そこで、越山監督を中心に理想とするパスサッカーにこだわるよりも、まず、最低でも2位、プレーオフ出場を目標に、勝ちにこだわる、泥臭く戦えるチームへと転換していきました。球際を激しくセカンドボールを奪う、奪ったボールを素早く回しカウンター攻撃という、従来の岩教育大のきれいなパスサッカーとはやはりイメージは違います。「相当、怒ったし、戦える選手を使うということで競争をさせた」と越山監督。リーグ戦最終戦の札大戦で敗れたものの、一定の成果を残し、「今年、一番の状態」でこのプレーオフに臨むことができました。

インカレでは東海リーグ2位との対戦が決まっていますが、今回ぐらいの試合を普通にできれば、全国でも恥ずかしい試合にはならないでしょう。「きょうは勝てたけど札大には負けているし、上には上がいる。今日のサッカーをベースに精度をもっと上げていきたい」と葛西主将は残り1カ月でのさらなる飛躍を誓いました。

これでインカレには札大と岩教育大の2校が出場します。札大は関東リーグ5位との対戦です。取材の予定ですが、同日に2試合あるので、どちらを取材すれば良いのか。うれしい悩みとなりました。
▽写真説明
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①前半24分、FW伊藤が先制点を決める
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②先制に喜ぶ伊藤と岩教育大イレブン
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③後半4分、FW近藤が追加点を決める
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④後半10分、MF奈良が3得点目
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⑤後半ロスタイムにGK橋本が好セーブ
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⑥試合後、岩教育大は歓喜のシャワーパーティー

キムケンの大学サッカー応援コラム2014年度⑤ 1部後期最終節

お久しぶりです。北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。
気付いてみれば、2014年もあと約2か月。時が過ぎるのは本当に早い。
ということで、北海道大学サッカーも25日、岩教育大人工芝サッカー場でリーグ戦の最終戦を迎えました。
前節までに札大の優勝、岩教育大の2位、北大の3位が決定していましたが、4年生にとっては、札大、岩教育大、入れ替え戦チームを除いては大学生活最後の試合となります。もう2度とない大学サッカーと別れを告げる試合ということで、特別な思いで試合に臨んでいます。モチベーションが落ちるということは無きに等しいと、今回の試合を見て思いました。
今回は順位もほぼ決まったということで、3試合をざっと振り返ってみましょう。
1試合目は道都大と東海大。北海道大学サッカー3強の一角だった、今季の道都大は不振を極めました。総理大臣杯では準々決勝で北大に敗れ、リーグでは8月17日の北大戦から9月6日の東海大戦まで4連敗を喫し、一時は順位を6位まで落としました。
この日の試合も道都大を抜いて4位に浮上するには大量点が必要な東海大が、序盤からフルパワーで道都大を押し込みます。ロングパスでスピードとテクニックを兼ね備える2トップの山室伸之輔選手(4年)、小野寺惇選手(3年)を走らせチャンスを作り、道都のDFラインを下げ、中盤では激しいプレスでボールをことごとく奪っては、ショートカウンターを連発します。2分に小野寺選手、42分に山室選手が得点し、後半30分にも中川和斗(1年)が加点し、一方的な展開となります。
しかし後半31分から道都大が猛反撃。攻め疲れの見える東海大に対し、パスワークを捨てカウンターで得点、その1分後にもCKから佐々木航主将(4年)が頭で決め1点差。そしてここから真打の登場です。後半35分、後半15分から途中出場していたFW小田切南斗選手(4年)がロングボールに相手DFと競りながら走り込み同点弾を決め、同38分にもFW平川健太選手(3年)のパスから切れ込み、「とにかくふかさないようにと思って蹴った」という低い弾道のミドルシュートがゴール左に突き刺さりました。「さすがに、あれはヤバかった。大学生活で一番のシュートでした」と興奮気味に語ります。まさかの大逆転劇が成立しました。私も、まさかの展開で東海大が攻めるサイドに陣取り撮影していたので、道都の得点シーンは豆粒になってしまったのが悔やまれます。
小田切選手は殊勲の1年を振り返り「厳しい一年だった」と声を落とします。「4年生は元気だったけど、下からの盛り上げが足りなかった。試合でも声が出なくて、覇気がなかった」と言います。特に3連敗を喫した北大や、今回、大苦戦した東海大と、プレスが厳しく頑張るチームには相性が悪く、4連敗を喫した時にチームが壊れたといいます。かつての道都大はその激しいプレスをかいくぐりゴールを量産していたものでした。「後輩たちは、技術的には本当にうまい。元気を出して、また全国を目指して頑張ってほしい」と小田切選手は、奮起を促しました。技術的にはいまだトップクラスである道都大。復権のカギはチームとしてのまとまり、そして勝利への貪欲な気持ちを取り戻すことから始める必要がありそうです。この大逆転が来季につながることを期待します。
結果にはなかなか結びつかなかったものの、1年を通して最後まで頑張り走り切るサッカーを貫いた東海大も立派でした。

3位が決定している北大は、最下位の北学園大相手に、目指していたパスをつなぐサッカーで、3-0と危なげなく押し切りました。特に4年生は最後の試合だけあって、消化試合ではなく、最後まで全力で走り切っていたのが印象的でした。MF紀井俊太郎主将(4年)は足がつって動けなくなるほど。「もう無理でした」と完全燃焼をしたようです。昨年は7位と入れ替え戦での残留から3位の大躍進。しかし、リーグ戦開幕直後は1分け2敗と最悪のスタートで「去年の二の舞かと思った」といいます。しかしそこから道都大に連勝、リーグ後期初戦で岩教育大に勝利するなど、地力強化と素晴らしくまとまりのあるチームに成長しました。「今は終わったという実感が沸かないです。後輩たちにはインカレに行ってほしい」と話し、プレッシャーから解放されたのか、大粒の涙を流しました。

大学リーグの最後を飾るのは、全勝を目指す王者・札大と2位の岩教育大。今季に限っては岩教育大の2敗と力の差は大きかった両者ですが今回は、非常に締まった試合を展開しました。中盤の競り合いでフィジカルに勝る札大に体を張って互角の展開に持ち込み、セカンドボールを拾った時はショートカウンターからチャンスを作ります。それでも地力に勝る札大が22分に相手DFのクリアミスから、MF菅原康介主将(4年)が決め先制します。しかし、岩教育大もカウンターからFW伊藤巧貴(4年)のスルーパスからFW近藤勝成選手が右サイドから、ゴール左隅に突き刺す素晴らしいシュートを決めました。

後半も序盤は一進一退でしたが、スピード、フィジカル、運動量で上回る札大がロングボールから徐々に押し込み始め、岩教育大はGK橋本周平選手(4年)の再三の好セーブなど、水際で止めるのが精一杯になります。そして迎えた38分、バイタルエリアのパス回しから最後はオーバーラップしていたアンカーの大友一就選手(3年)が押し込み、突き放しました。岩教育大の必死の抵抗を横綱相撲で押し切った形となりました。
盤石の強さで今季の北海道大学サッカー公式戦を全勝で乗り切った札大。菅原主将は「追いつかれても、悪い時間帯は必ずあるので、その後に失点しなければいいと思っていました」と話します。岩教育大の疲れを見て、ショートパス主体から後半途中でロングボールを多用したように、相手の状況や時間帯を見て、フレキシブルに戦い方を変えるしたたかさを身に着けようとしています。それも、全国で勝つためです。今後は12月から大阪、静岡県御殿場で合宿を行い、インカレに備えます。「11月から1カ月以上、公式戦がないので、コンディションや気を緩めないように個人の自覚が必要」と菅原主将。油断は全くなさそうです。

岩教育大は札大との差を認め、パスサッカーではなく球際の激しさとカウンターで健闘しました。「セカンドボールも拾えて、チャンスも作れた。今年の中では戦えた試合でした。それでもなおかつ札大の力が上回った」とDF葛西大主将(4年)は認めます。来月9日にはインカレ出場をかけ、東北リーグ2位との対戦が待っています。リーグ後期初戦には北大に完敗を喫し、「今のレベルではパスでは崩せない」(越山賢一監督)と、パスを回す綺麗なサッカーだけではなく勝利へ頑張れる闘志を出すチームへ方向転換を図ってきました。それがこの札大戦で一定の成果が出たようで、プレーオフへ向け収穫はあったと思います。昨年のプレーオフでは後半アディショナルタイムに決勝点を奪われる悪夢を経験しました。相手に与えたたった2本のシュートが得点となるサッカーの無慈悲さを突き付けられ、「あの衝撃は経験したものじゃなければ分からない。今年は絶対勝ちたい」と葛西主将。越山監督は「プレーオフはとにかく勝つこと。理想なんか言っていられない」と泥臭くとも勝利のみを求めます。昨年の涙を笑顔に変えられるか。会場はまさにホームグラウンドの同大人工芝サッカー場。決戦は日曜日午後1時。サッカー好きの方は応援に足を運んでみてください。レベルはともかく、熱い試合が見られると思います。

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①前半2分の先制点で喜ぶ東海大
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②小田切の逆転弾で喜ぶ道都大
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③同点、逆転弾を決めたFW小田切
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④先制点を決めた北大FW池上
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⑤2点目のPKを決めた北大FW服部
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⑥札大MF菅原が先制点を決める
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⑦MF大友の決勝弾を祝福する札大

キムケンの大学サッカー応援コラム2014年度④ 1部後期1節

お久しぶりです。北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。総理大臣杯以降、諸事情で大学サッカーの現場に足を運べず、当ブログのアップが約3か月半ぶりとなってしまったことをお詫びいたします。

この3か月で日本、世界、日本のサッカーはW杯など、様々な出来事が起こりました。日本代表の惨敗は、すでにかなり昔の出来事のように思われ、総括らしい総括もせず、何事もなかったようにアギーレジャパンがスタートしています。これに関しては日本サッカー界全体も関係することなので、このブログをお借りできるならば、いずれ取り上げることができればと思います。

大学サッカーもリーグは前期が終わり、早くも札大が独走の気配ですが、3強の一角、道都大が不振を極め6位という状況に私も驚きを隠せません。逆にチームとしての組織力、技術の向上が目立つ北大、しっかりリトリートして効率的に得点する北翔大の躍進が目立ち、札大以外は力の差が縮まってきているようです。今回はリーグ戦1部の後期初戦を取材しましたが、岩見沢教育大(以下、岩教大)と北大の試合で、そのような現状を示すアップセットが起こりました。

岩教大はDF葛西大主将(4年)を累積警告、ボランチ2人をケガで欠き、サイドバックの奈良創平選手(3年)をアンカーにコンバートし、4-3-3の緊急布陣で臨みました。しかし、ボールこそキープするものの、ミスが目立ち、北大の的確なディフェンスに攻めあぐねます。逆に北大は奪ったボールを岩教大のアンカーのスペースを使い鋭いカウンターを序盤から仕掛けます。ペースはむしろ北大にありました。

そして迎えた前半15分、相手のミスパスを奪った北大のFW服部聖仁選手(4年)がバイタルエリア中央から右サイド持ち込み、DF2枚がマークしていましたが「もっと、(DFが)詰めてくると思ったけど、そうでもなかったから、ゴールが見えた時に思い切って打った」と右足を振りぬいたシュートがゴール左隅に突き刺さりました。31分には岩教大のFW近藤勝成選手(3年)が一発退場し、有利となった北大は36分、FW池上慧介選手(3年)の頭での折り返しをMF久呉直也選手(3年)が決め追加点を決めます。後半は攻めにきた岩教大を最後まで冷静に抑えきり、完勝と言える内容で見事に完封勝ちを飾りました。

先制点を決めた服部選手はリーグ10得点目となり、得点王争いのトップを独走しています。前期最終節の北学園大戦でチームの全得点となる5ゴールを決め大爆発。「今季は調子がいい」というエースストライカーですが、昨年はリーグ戦1ゴールと不振を極め、「去年の二の舞はしたくない」と今季にかけてきました。「去年はシュートを打っても『入るかな』という感じでしたが、今はゴール前で冷静でいられるし、ゴールが見えたらシュートを打とうと心がけています」と語ります。そして何より、「去年と比べて、うまい下級生も入ってきて、中盤の技術が上がって良いパスが出てくる」ということを要因に挙げます。ボールをもらいに下がることもなく、前線でゴールを奪う動きに専念でき、シュートチャンスが増え、積極的にシュートを打つことにより精度も上がっていきました。後半25分に累積警告で退場し、次節の札大戦の出場停止は痛いですが、得点王のトップを走ることについて「こんなチャンスは滅多にないし、狙いたい」と意気込みます。北大のリーグ得点王は1980年代まで遡るようで、快挙を達成できたとき、北大の成績にもつながっていることでしょう。

岩教大相手の完勝に紀井俊太郎主将(4年)は「完封できたことは大きい」と振り返ります。「目指すパスサッカーからは程遠いですが、カウンターが良く決まってくれました。でも次、結果を出さないと意味がない」と強敵・札大戦へ切り替えました。勝利の瞬間、ベンチは大騒ぎでしたが、当の出場選手たちは意外に冷静だったのが印象的です。今季は道都大に総理大臣杯、リーグ前期と2勝した現在の北大に、今回も番狂わせというのは失礼なのかもしれません。

気になったのは岩教大。ベストには程遠い布陣、慣れないシステムを割り引いても覇気が感じられませんでした。パスはつながるものの、運動量が少なく持ち前のショートパスは影を潜め、決定的なシュートまで行ません。前からプレスをかけられず、易々とカウンター攻撃を受けます。これではDFラインもビルドアップができず、ロングボールが多くなる悪循環に陥りました。今季の岩教大は受け身になってからのもろさが目立つ印象です。12失点という結果にも表れていると思います。何とか立て直して、札大のライバルとしての強さを見せて欲しいものです。

札大についても簡単に振り返りましょう。最下位の北学園大と対戦し11-1という今季最多得点の圧勝でした。結果よりも、注目はさらなるチーム力アップのために従来の4-4-2のシステムから中盤の底にアンカーを置いた4-1-4-1を試していることです。橋本茂之監督は「前期で7失点していて、原因をボランチとDFの間を使われていると考えて、そのエリアをアンカーで潰すために考えました」と話します。総理大臣杯でもまさかの7失点を喫していることもきっかけの一つではあるでしょう。このシステムではDF大友一就選手(3年)をアンカー、FW下田速人選手(3年)をセンターハーフと大胆なコンバートを行っており、新しい特徴を引き出すことと、ユーティリティーさを求める部分もあるようです。

戦い方にも変化が感じられます。アンカーを置くことにより、DFラインを上げることができコンパクトになること、中盤が厚くなり、バイタルエリアで細かいパス回しができるようになっています。今季の札大はスピードとフィジカルを生かしたサイドアタックが特徴でしたが、ともすれば単調にもなっていました。しかし、今回の試みにより、攻撃のバリエーションが多彩になる可能性を秘めています。木島コーチは「特にシステムにこだわるわけではないです。選手に新しい刺激と不安要素を常に与えながら、持っている力を引き出してあげて、いろんな戦い方に対応できるようにさせたい」と言います。今季の北海道では1枚上の力を持っている札大だけに、このチャレンジが北海道ではなく全国でも通用するか、高いレベルでの模索を続けていくようです。

▽写真説明

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①前半15分、北大のFW服部が先制点を決める
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②先制点で服部を祝福する北大イレブン
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③36分、MF久呉が追加点
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④久呉と喜び合う北大
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⑤勝利の瞬間、北大ベンチは大喜び
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⑥DFからアンカーにコンバートされた札大・大友
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⑦FWからセンターハーフにコンバートされた札大・下田

キムケンの大学サッカー応援コラム2014年度③

力対技のぶつかり合い-。1日の総理大臣杯(厚別公園競技場)の決勝、札幌大(以下、札大)‐岩見沢教育大(以下、岩教育大)の一戦は、その言葉にふさわしい、見応えのある熱戦となった末に札大が2年連続24回目の優勝を果たしました。これで、8月8日から大阪などで開催される全国大会の切符を手にしました。

昨年のポゼッションサッカーから一変、縦への推進力を高めフィジカルとスピードを生かしたパワーの札大と、昨年のレギュラーが多数残り、パスワークの精度をさらに上げている岩教育大という、対照的な特徴を持つ現在の北海道大学サッカーの盟主である両チームはまさにライバルというにふさわしいでしょう。

「今日は風がかなり試合に影響しました」と札大・橋本茂之監督が振り返る通り、前半は強風の中、風上に立った札大が圧倒します。縦パスでサイドハーフやFWをDFラインの裏に走らせスピードを生かしたドリブル突破でチャンスを作ります。そして相手のクリアボールも前に飛ばないため、高い位置から激しいプレスでセカンドボールを拾い主導権を握りました。3分にMF有働麻人選手(3年)、5分にボランチ種元啓介選手(3年)が惜しいシュートを放つなど、序盤からゴールの匂いが濃厚に漂っていました。

対する岩教育大は札大のプレッシャーをかいくぐれずにラインを下げられ、持ち前のパスワークが影を潜め、縦パス一辺倒の苦しい展開となります。その中でも8分に裏を抜け出したFW近藤勝成選手(3年)がGKと1対1のシュートのチャンスを作りましたが、角度がなかったこともあり惜しくもはずれます。

札大ペースで進んだまま迎えた27分、スローインからMF種元選手のパスを受けたFW澤野康介選手が裏を抜けミドルシュートがゴール左スミに決まります。昨年も先制したチームが勝利を手にしたこの2チームの対戦。札大の勢いは増し、この後も前半は札大ペースのまま終了しました。

後半は打って変わって岩教育大ペースなります。やはりプロとは違い大学サッカーのレベルでは、条件が大幅に変わると、状況に合わせたゲームコントロールは難しいようです。「風で蹴ってもボールが前に飛ばなくて押し込まれた」と札大・菅原康介主将(4年)が振り返るように向かい風に対処できず、中盤でボールが収まるようになった岩教育大が持ち味のパスワークから守備ブロックを作った札大のスキを突くようになり、11分にMF伊藤巧貴選手(4年)、13分にはボランチ松本鴻太選手(3年)のミドルシュートなどでゴールを脅かします。そして、18分、相手GKの遅延行為からペナルティーエリア内でFKを獲得し、DF葛西大選手(4年)がチョンとはたき、伊藤選手のコントロールされたシュートが壁を越え、ゴール左上に吸い込まれました。

これで試合はわからなくなりました。決勝の1発勝負だけに、後半はゲームプラン以上に、それ勝ちたい気持ちがどちらが勝るかという勝負にもなります。1対1の局面も激しさが一層増してきますが、その中で札大は「失点したけど、1度リセットして自分たちのやることをやろうと」(菅原主将)と冷静にペースを取り戻し、札大がやや押し込む展開になります。逆に序盤から圧力をかけられ続けた岩教育大は後半39分、DF河崎敬選手(4年)が相手選手を倒し2枚目の警告で退場となってしまいます。
その直後のFKで菅原主将が「低くて速いボールを入れて、誰かが触ってくれたらと思った」という祈りを込めたキックに、DF廣瀬将太選手(3年)が体ごとニアサイドに飛び込み頭で合わせた決勝弾が突き刺さりました。

「とにかく気持ちで押し込みました。どんな形で打ったか覚えていません」と興奮気味に話す廣瀬選手。試合前のミーティングで今季のUEFAチャンピオンズリーグ決勝、アトレチコ・マドリードとレアル・マドリード戦でレアルが後半アディショナルタイムに同点に追いついたビデオを見て、サッカーは何が起こるか分からない、最後は気持ちの勝負だということを確認し合いました。その気持ちが生んだゴールでした。

1人少ない岩教育大も必死に反撃し、後半終了間際に佐川晃大選手がペナルティーエリア内で倒されましたが、逆にシミュレーションの判定で累積警告2枚となり退場。これで万事休しました。

昨年もそうでしたが、札大のパワーが、岩教育大をわずかに上回ったという印象でした。札大のプレッシャーとフィジカル、前線のスピードは北海道大学サッカーでは頭一つ抜けています。この圧力に北海道レベルでは対抗するのは難しいでしょう。岩教育大の越山賢一監督は「2人の退場者も痛かったけど、結局は非力ということ。札大のプレッシャーをかわせなかった。今後、札大に勝つためには運動量を多くして、もっとパスワークを磨かないと」と話します。

その札大も、全国では簡単に勝利を挙げることはできません。昨年は大臣杯では関西学院大に1-1からPK2-4で敗退、インカレでは新潟経営大に延長で3-5と敗れています。北海道では常に前からプレッシャーをかけ、縦に早く展開し90分圧力をかけ続けるサッカーで圧倒していますが、木島敦コーチは「それだけでは全国では通用しない。全国では回される時間帯が増えると思うので、特に守備で時間帯や状況に応じた戦い方を判断できないといけません。時にはブロックを作ってリアクションする時間も必要」と話します。現在のパワーサッカーに柔軟さをこの2か月で肉付けできるか。「木島さんの意見には気づかされることも多いし、ヒントをくれる」(菅原主将)と選手は全幅の信頼を置いています。今年はミーティングも数多く繰り返し、チームは活気づいているといいます。スタッフ、チームとも昨年以上にまとまりが増した札大の全国での活躍を期待します。


準決勝も簡単にレポートしておきます。札大-北翔大戦は、やはり札大が前からの圧力をかけ攻め込み、北翔大がラインを引いて、しっかりブロックを作ってカウンター攻撃を狙う展開となります。主導権を握った札大は27分に菅原主将のPKで先制すると、後半3分、23分にも追加点を取り試合を決定づけます。最後まであきらめない北翔大は後半33分に小沢佑貴選手(4年)がカウンターから一矢を報います。結果は札大の順当勝ちですが、北翔大の頑張りも目を引きました。「3点決めて、攻撃に目を向けすぎて、守備の集中力が切れたことが反省点」と札大・菅原主将は勝っても気を引き締めました。

北大-岩教育大戦も、北大が岩教育大の技術を警戒しすぎたか、受け身になりプレスがかからず、岩教育大のパスワークに翻ろうされます。この日は特にトップ下の伊藤巧貴選手(4年)のトリッキーなパスが冴え、25分、42分、後半6分とバイタルエリアでアイデアあふれるショートパスの交換から得点を叩き込みます。「攻撃の選手同士はイメージが合っているし、去年以上にパスワークには自信があります」と伊藤選手。しかし、今季の北大は確かな得点力と気持ちの強さがあります。後半途中からペースを取り戻し、同20分に星野広大選手(4年)のPKで1点を返し、その1分後に岩教育大の伊藤選手がすかさず取り返しました。それでも北大は26分にFW服部聖仁選手(4年)がゴール前に切り込んで右隅に決めました。「前半のゲームコントロールは反省ですが、2点取れたことは収穫です。リーグ戦は3位以上を目指したい」と北大の紀井俊太郎主将(4年)は悔しそうに振り返りました。

北翔大も北大も無抵抗で敗れたわけではなく、現在の2強相手に自分たちの戦い方で得点も決めました。14日から1部リーグが開催されますが、各大学の成長と、本来ならば3強の一角・道都大の調子が昨年から上がらない現状で、3位争いは混とんとしたものになりそうです。
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写真説明(決勝)

前半27分、札大FW澤野が先制を決め祝福しあう札大イレブン

後半18分、岩教育大MF伊藤が同点弾を決める

後半39分、決勝弾を決めたDF廣瀬

攻守に札大の中心となった札大の菅原主将

接戦の末敗れ、落ち込む岩教育大イレブン

トロフィーを掲げ喜ぶ札大イレブン
写真説明(準決勝)

前半27分札大・菅原主将がPK決め先制

札大の攻撃を体を張って抑える北翔大

前半25分岩教育大のFW岩田健吾(3年)が先制点を決める

後半21分岩教育大MF伊藤がチーム4点目を決める。伊藤はこの試合1ゴール2アシストと活躍

キムケンの大学サッカー応援コラム2014年度②

北海道学生サッカー連盟サポーターの「キムケン」です。今回は、25日の総理大臣杯の準々決勝の取材に苫小牧駒澤大学グラウンドに足を運びました。この4試合の結果を見て、結論から言ってしまえば、長らく札大、岩教育大、道都大の「3強」と言われた北海道大学サッカー界の勢力図に地殻変動が起こりつつあると感じました。

第1試合から完全に“下克上”でした。道都大と北大の一戦。前半は個人技に勝る道都大が主導権を握る展開。昨年は守備やプレスの緩さが目立った道都大でしたが、この試合では前から積極的にプレスを仕掛けてボールを奪い、北大にボールを回すスキを与えません。対する北大は「前半は守備から入るというプランでした」と紀井俊太郎主将(4年)が話すように、じっくりとチャンスを待ちましたが、相手のプレスにボールの収まりどころがなく、押し込まれては縦パスを蹴らされる苦しい展開となりました。

23分に道都大が北大のオウンゴールで先制すると、33分にも右クロスからFW平川健太選手(3年)が頭で押し込み追加点を挙げました。道都大はデンソーカップを経験したDF佐々木航主将(4年)を中心に北大にチャンスを与えず危なげなく前半を終えました。

これは、正直、道都大の順当勝ちかなと感じましたが、サッカーでは2-0のスコアが勝っているチームにとっては一番危ないと言われます。気の緩みが生まれやすいスコアで、ゲームプラン的にも、攻撃的に3点目を狙って止めを刺すのか、セーフティーに逃げ切るのか、ゲームコントロールが難しくなるからです。サッカーが心理戦とも言われる所以です。その格言通りに後半に入るとガラッと様相が変わります。

北大は後半開始からボランチにテクニックとキープ力のある奈良銀二選手(1年)を投入し、同13分に運動量と突破力のある星野広大選手(4年)を入れると、ボールが収まるようになり、パスがつながるようになります。「昨年のチームはボールをすぐ失っていたので、冬場から少ないタッチでパスをつないで攻撃することをチームとして高めてきました」(紀井主将)と話す通り、道都大のプレスをかいくぐり、ゴール前まで迫るシーンが増え始めました。

後半15分に右サイドからのグラウンダーのクロスをFW服部聖仁選手(4年)が押し込むと完全に北大ペースになります。40分にはFW池上慧介選手(3年)が混戦からのこぼれ球を押し込みついに同点に追いつきました。前半から予想もつかなかった見事な同点劇です。延長戦(前後半10分)は両者譲らずPK戦に、北大は1人目こそはずしましたが、その後の4人は全員成功。そしてGK河野航選手(4年)が道都大2、3人目をストップする活躍で勝利し、2年連続のベスト4進出を決めました。

北大のイレブン、ベンチ、応援ともに優勝したかのような喜びようです。無理もありません。これは歴史を考えれば番狂わせだと思います。1990年代後半から、北海道大学サッカー界の盟主だった道都大に北大が勝ったという記憶が、この10数年を遡っても私にはありません。「少なくとも5年は勝っていないはず。素直にうれしいです」と紀井主将。昨年からの北大の充実ぶりを考えると、それほど差はないと思っていました。2点差を跳ね返す堂々たる勝利は、番狂わせという言葉は失礼かもしれません。「自分がいる4年間で3強に勝ちたいと思っていました。技術の差はありましたが、気持ちで上回れた」とFW池上選手は誇らしげに話します。準決勝は3強の一角の岩教育大。「戦える準備はできています」(池上選手)。連続の番狂わせを狙います。

2試合目の岩教育大と北学園大の対戦も下剋上寸前となり、サッカーの怖さと面白さを味わえる、痺れる試合になりました。主導権を握るもシュートを決めきれず攻めあぐむ岩教育大と引いてしっかり守って時折鋭いカウンター攻撃をしかける北学園大という展開。それでも後半34分にFW岩田健吾選手(3年)がようやく先制弾を決めます。これで逃げ切るかと思いましたが、同43分に北学園大がPKを獲得。44分にMF高木俊太選手がPKを確実に決め土壇場で同点に追いつきます。

延長戦に入っても岩教育大が攻める展開は変わりませんが、同後半6分に途中出場の北学園大FW荒木謙吾選手(4年)がスローインからDFラインの裏を抜けGKと1対1になり冷静に押し込みました。まさかの展開です。残り時間は4分。道都大に続き岩教育大も敗れるのか。信じられない思いで、目の前の光景を見ていましたが、サッカーの神様はさらなるドラマを用意していました。北学園大リードのまま、アディショナルタイムも2分も過ぎました。ゴール前右サイドでボールを受けたMF小泉洋生選手(2年)。これが本当にラストプレーです。切り替えしのフェイントでDFを交わし、「(ゴールマウスの)ニアが開いているのが見えたので思い切って打ちました」と思いを込めたゴールが狙い通りゴールネットに吸い込まれました。

絶望の淵から救い上げるゴールに泣きそうな顔で喜ぶ小泉選手を祝福するイレブン。初戦の3回戦から再三シュートをはずし、責任を感じていましたが、初ゴールが奇跡の同点弾で、「本当に安心というか、ホットしました」と笑顔を浮かべます。決まらなければ地獄に叩き落される状況で決めた精神力は感嘆に値します。PK戦ではGK橋本周平選手が北学園大の1人目を止め、岩教育大はキッカー5人全員が決め、激闘に終止符を打ちました。

「正直、かなり焦りましたが、けが人が多い中でも、全員が一丸となってあきらめない気持ちで戦ったことで勝てたと思います」と葛西大主将(4年)。シュート数27本対6本と圧倒しながら、得点できなければ、今回のような展開も待っています。この大苦戦を教訓にして、準決勝は気を引き締めて戦うことでしょう。

まさかの展開が続いましたが、3試合目は昨年の王者・札大が函教育大に盤石の勝利を飾りました。前半からほぼ一方的に試合を支配しながら、函教育大の体を張った守備に無得点に終わります。「前の2試合がああいう展開だったので、嫌なムードだった」と橋本茂之監督は言いますが、後半も札大のペースは変わりなく、札大の圧倒的ボールポゼッションに函教育大の疲労感が顕著になっていき、ほとんどペナルティーエリア内でゴールを死守する展開となっていきます。そして迎えた20分に札大がPKを獲得し、今季からサイドバックにコンバートされた菅原康介主将(4年)が冷静なチップキックでGKの逆を取り先制しました。

これで、耐えてきた函教育大の守備が決壊、同21分に追加点を決められると、ほぼ試合は決しました。結局後半だけで5ゴールを決めた札大が快勝しています。

昨年の札大も攻守のバランスの取れたカッチリした負けないチームでしたが、今年の札大は、より攻撃的なチームにシフトしようとしています。縦に早くボールを運び、ボールを持った選手は積極的に仕掛けていきます。それをサポートするべく、後ろからも選手が飛び出してきて、数的優位を作り、分厚い攻撃を展開していると感じました。「相手に90分間圧力をかけ続け、受け身にならずに、ボールを奪ったらどんどん前に出ていくことを意識しています」と菅原主将。攻撃こそ最大の防御というチームを作ろうとしているのでしょうか。

また、今季は4月から元コンサドーレ札幌の選手で前ノルブリッツ北海道の監督だった木島敦氏がコーチに就任。選手中心に戦い方を形作っている札大ですが、それに、木島コーチが培った豊富な経験をアイデアとして補完しています。「指導者というより、選手と同じ目線で、サッカーと生活面でサポートしていければ」と木島コーチ。今年の札大に大きな力となることは間違いありません。

第4試合は北翔大が道東海大を破りました。31日の準決勝は北大-岩教育大、札大-北翔大の対戦となります。今回の試合を見る限りでは、現時点ではフィジカル面や完成度で札大が一歩リードしているかなという印象はありますが、それでも差はわずか。3強の構図が敗れた現在、準決勝はさらなる激闘が展開される予感がします。

写真説明

同点ゴールを決めたFW池上、前線で体を張ってボールをキープした

PKを止めガッツポーズの北大GK河野

道都大PK戦で勝利し、抱き合い喜ぶ北大

延長後半のゴールを決め歓喜する北学園大FW荒木

延長後半に同点ゴールを決める岩教育大MF小泉

PK戦で勝利し抱き合う岩教育大

後半20分、札大DF菅原がPKを決める

後半ロスタイムに札大5点目のゴールを決める札大MF種元啓介(3年)

今季、札大コーチに就任した木島氏

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キムケンの大学サッカー応援コラム2014年度①

北海道学生サッカー連盟サポーターの「キムケン」です。今季も北海道大学サッカーの開幕を告げる、総理大臣杯(第38回全日本大学サッカートーナメント北海道大会)の季節がやってまいりました。今年もまったくの微力ながら、このコラムなどで大学サッカーを盛り上げる一助となれればと思っております。よろしくお願い致します。

17、18日に全道各地で熱戦が展開された1、2回戦ですが、やはりこの中で注目は昨年、学連に新規参入した札幌大谷大(以下、大谷大)でした。昨季は総理大臣杯、大学リーグ3部と公式戦8戦全敗に終わりました。しかし、今季は札幌大谷高でインターハイ、高校選手権の全国大会出場を経験した1年生が入部していることもあり、期待をいだかせます。

1回戦は、北海道工業大から改名した北海道科学大(以下、道科学大)と対戦。昨季はリーグ戦で1-2と敗れています。試合は、いきなり開始30秒あまりで相手DFラインの裏を抜け出したMF村上一哉選手(2年)が前に出てきたGKの下を通す技ありゴールで電光石火の先取点を挙げます。

その後も主導権を握る大谷大は、攻撃陣が流動的にポジションチェンジし、ボランチやサイドバックも積極的に攻撃参加しチャンスを作り続けます。攻撃の迫力は昨年とは別のチームです。強い風上を生かし、ロングシュートも多用し道科学大のゴールを脅かし続けます。しかし、数多くのチャンスをシュートが枠をそれ、決めるには至りません。

「得点が早すぎて、その後のチャンスを決めきれずに、まったりとした展開になってしまった」と佐藤祥平監督(27)が振り返るように、後半も試合を支配し、チャンスを作ってもシュートまでいけず、1対1のシュートでも決めきれない状況が続きました。そのような難しい状況の中でも、守備の集中力は最後まで切れず、逃げ切れたことは、やはり昨年とは違います。2回戦でも昨年2部3位の北星大を3-1で撃破しました。

学連参入して公式戦初勝利と2勝目を挙げ、創部2年目でまた歴史をひとつ刻みました。
昨年は、1、2年生の部員13人からスタートし、高校までサッカー経験のない選手も出場していた状況でした。公式戦全敗の中で、釧路教育大に0-15という大敗も経験しました。「難しい状況でしたけど、チームとしてまとまっていこう、1勝しよう、歴史を作ろうと声掛けをしてきました」と三浦昂太主将(3年)。リーグ最終戦の釧路公立大戦は1-6で敗れたものの「一番いい試合ができた」(佐藤監督)とモチベーションを落とさず、徐々に成長していきました。

敗戦の悔しさを経験しながら築き上げた土台に、今年は1年生が10人入部。そのうち9人が札大谷高出身です。9人のうち全国選手権のスタメン2人、ベンチ入り4人という豪華な陣容です。選手層も一気にレベルアップしたことは間違いなく、17日の試合もスタメンは1年生が5人を占めました。全国選手権もスタメン出場したDF高山裕大選手(1年)は「大学ではサッカーをやらないつもりでした。でも、サッカーから離れて、自分はやっぱりサッカーが好きだということに気付いた」と入部を決意しました。創部して間もないチームという状況は、高校でも同様で「歴史を作っていくことにはやりがいを感じます。高校での経験を還元していきたい」と話します。

経験値の高い1年生が入部したことで、チームの活性化は明らかです。「間違いなく、試合に出られる選手は限られてくる。競争は激しくなるし、レベルアップにつながると思います。とにかくチームとして歴史を作るために一丸となってやっていきたい」と三浦主将。今季の目標はまずリーグ優勝2部昇格を掲げています。24日の3回戦では昨年の覇者・札大と対戦します。「今の自分たちがどこまで通用するか、実力が図れる試合」と佐藤監督。新生・大谷大が王者にどこまで食い下がるか注目です。

総理大臣杯とは別になりますが、今季は昨年1部6位の苫小牧駒澤大学が脱退し、3部に北大水産学部が復帰しています。このため、1部リーグは7チームの総当たりとなり、2部との入れ替えに関しては、2部1位は自動昇格、同2位と1部7位が入れ替え戦となる予定です。

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前半開始30秒で、大谷大・村上(写真右)が先制点を決め祝福される

前半13分CKから三浦主将がGKと激しく競り合う

後半32分、途中出場のFW佐藤誠恭(1年)がシュート

大学公式戦初勝利を決め安どの表情を浮かべる大谷大
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キムケンの大学サッカー応援コラム⑪

全国の壁は越えそうで越えられない。この見えない壁を如何に突破するかが、北海道大学サッカー界の課題なのではないでしょうか。今回は全日本大学サッカー選手権(以下、インカレ)、北海道代表の札幌大(札大)と北信越2位の新潟経営大(新経大)の取材をして、改めて感じました。

紹介が遅れましたが、北海道学生サッカー連盟サポーターの「キムケン」です。この試合は14日にインカレ1回戦、東京・味の素スタジアム西競技場で行われました。今季の札大は北海道では公式戦わずか1敗、学生リーグでは無敗という圧倒的強さで優勝を果たし、総合力は非常にバランスの取れたチームに仕上がっていたと感じていました。それだけに、強い札大が全国でどれだけ通用するのか、楽しみにしていました。

しかし、結論から言うと、今季最多となる5失点で延長戦の末、無念の敗戦を喫したのです。敗因の大きな要素となったのは、試合開始の出足の悪さ。明らかに動きが重そうな札大に対し、キックオフから新経大がどんどん前から積極的にプレッシャーをかけてきます。ボールを奪うこともままならず劣勢に追い込まれ、18分にはFKから、19分には縦パスでDFラインの裏を取られあっさりと失点してしまいました。ワイドに展開し、スピードもあふれる新経大の攻撃に、自陣ゴール前でボールウォッチャーになったり、マークのずれが出てしまい、堅牢なはずの札大の守備がもろくも崩れます。

この失点で常に追いかける展開を余儀なくされ、常にリスキーなサッカーをせざるをえなくなりました。北海道での安定したゲームコントロールとは裏腹のバタバタした展開はショッキングでもありました。「開始から出足が悪くて、そこで失点したのが敗戦につながった。自分を中心に守れたら勝てた試合」とDF工藤駿主将(4年)は振り返ります。DFに関しては最後まで不安定なままでした。

それでも、攻撃に関しては徐々に落ち着きをとりもどし、24分には澤野康介選手(2年)の縦パスを受けたエースFW菅原康介選手(3年)がゴール前に切れ込みマーク2人をかわし1点差として前半を終了します。

後半に入ると、9分に左サイドを突破されてクロスを上げられ、ファーサイドから折り返され、MF太田翔選手(2年)に3得点目を叩き込まれました。それでも後半はDFラインを押し上げ、コンパクトな陣形にしたことによりセカンドボールを拾えるようになり、次第に札大ペースとなります。24分には菅原選手が左サイドに展開し、こぼれ球を拾ったFW澤田恒選手(4年)がドリブルで持ち込み、ゴール前に上がってきた菅原選手へパス。倒れこむように打ったシュートは左ポストに当たりゴールに吸い込まれました。新経大の足が止まり始め、後半の中盤からは一方的な札大ペースとなりました。特に左サイドを再三崩してチャンスが続出します。33分、くさびのパスを受けた菅原選手がDFラインの裏を抜けた左サイドの澤田選手に絶妙なパスを送り、完全にフリーとなり、GKを冷静にかわし、同点のシュートを叩きこみました。後半終了まで何度もゴール前に攻め込みましたが、決めきれず、延長戦に。

完全にペースを握っただけに、延長戦も期待が膨らみましたが、思わぬ落とし穴が待っていました。延長前半2分、縦パス1発で裏を取られ、GK金谷裕人選手(4年)が懸命にクリアしようと前に飛び出しましたが、わずかに新経大FW斎藤瑶世選手(1年)のスピードがまさり、25メートルのロングシュートが無人のゴールに突き刺さりました。「あのゴールが本当に痛かった」と橋本茂之監督が悔やむように、新経大はこれで完全に息を吹き返し、札大はボールを奪えず苦しい展開になります。そして延前ロスタイムの12分はPKを与え、GK金谷選手が一度弾くものの、こぼれ球を押し込まれ、これでほぼ万事休すとなりました。

決して力負けではなく、勝つチャンスは十分ありました。ですが、北海道代表が北信越2位に敗戦という現実は重くのしかかってきます。一方でこの敗戦は「見えない壁」を越えるために、非常に示唆に富むものと感じました。プレーオフの岩教大と岩手大の試合でも思いましたが、実力では決して劣っていない、むしろ上だと思うにも関わらず勝ちきれない「勝負弱さ」があります。橋本監督は「全国の強いチームは勝負所では強引にでも点を取りにきて、ものにする。逆にこちらはチャンスでもシュートを打てなかったり、一歩遅れることがあります」と勝負勘の差を挙げました。確かに、この試合では新経大は前半、後半、そして延長戦と序盤に一気呵成にゴールを決めに来ました。きれいな展開ばかりではなく、勝負時を見極め泥臭くゴールを狙うことも必要ということでしょう。

もうひとつはコンディショニングです。リーグ戦では「負ける気がしない」(工藤主将)というぐらいチーム状態は上がっていましたが、「そこで一度ピークをむかえていた」と言います。リーグ戦時と比べると、札大の動きはやはり重かった。10月末にリーグ戦が終わり、インカレは1カ月半ぶりの公式戦となり、その間、コンサドーレ札幌や仙台大と練習試合をし、さらに7日からは静岡県御殿場市で合宿を行ってきましたが、ウイルス性の風邪が蔓延するなど苦心していた模様で、長期間の調整の中で万全な状態にもっていくことは難しかったようです。冬場の調整の難しさは北海道のチームには等しく課題になってくると思います。

悪いところばかりではなく、2点差を追いついた攻撃は相変わらずの迫力で、壮絶な痺れる試合を見せてもらいました。工藤主将を中心に選手を中心にポゼッションサッカーを目指し、完成度の高いチームを作り上げたのは賞賛に値します。2ゴール1アシストと全得点にからんだ菅原選手は「得点しても、勝利につながらないのでだめです。前半、後半の最後のチャンスで決めないとだめ」と悔しそうに語ります。来季は彼が中心となったチームづくりが行われることでしょう。「今回は5点取られたけど、5点取られても6点取れるように、攻撃の精度をもっと高めて、攻撃的なチームにしていきたい」と来季への雪辱を誓いました。これを糧に、再び全国で勝てるチームを目指し、そして北海道の大学サッカーを引っ張ってくれることを期待します。お疲れ様でした。

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入場する札大

試合開始前の札大の集合

前半24分、FW菅原が反撃のゴールを挙げる

後半33分、FW澤田が同点弾を決める

同点弾に喜ぶ札大

敗戦が決まり、落ち込む札大イレブン

キムケンの大学サッカー応援コラム⑩

北海道学生サッカー連盟サポーターの「キムケン」です。今回は来年3月に宮崎県で開催予定の各地区選抜の対抗戦「デンソーカップチャレンジサッカー」の北海道・東北学生選抜の選考会となる、北海道選抜(以下、道選抜)と東北選抜の試合を取材に仙台市郊外にある仙台大学人工芝グラウンドに足を運びました。

同選抜は3年生以下の各大学リーグで活躍した選手を選考され、デンソーカップで北海道・東北、関東A、B、東海・北信越、関西A、B、中国・四国、九州選抜に分かれて対戦し順位を決め、3月末の日韓大学定期戦で、韓国大学選抜と対戦する全日本選抜を決める、第一歩となります。

今回の試合内容で選手を21人選抜し、3月の本番前に最終的18人で構成されます。

今年度の道選抜メンバーは以下のとおりです。
監督・越山賢一氏(岩教大監督)コーチ・菅野学氏(東海大コーチ)GK橋本周平(岩教大3年)石井龍誠(東海大2年)DF濱屋豊(道都大3年)佐々木航(道都大3年)葛西大(岩教大3年)奈良創平(岩教大1年)植木隆太(札大3年)廣瀬翔大(札大2年)MF山室伸之輔(東海大3年)笹原隆平(岩教大3年)松本鴻太(岩教大2年)村上岳(北翔大3年)千葉錬(苫駒大3年)FW伊藤巧貴(岩教大3年)近藤勝成(岩教大2年)菅原康介(札大3年)

岩教大7人、札幌大3人とこの2チームで約半数を占めます。対する東北選抜は仙台大7人、富士大5人、岩手大2人、八戸学院大、東北学院大が各1人の仙台大中心のメンバーです。今季の両地区の力量を図る上でも興味深い一戦となります。

試合は、テクニックとサイドアタックで速い攻めを仕掛ける道選抜に対し、フィジカルを生かしたアグレッシブな守備とスピードで勝負する東北選抜の白熱した勝負になります。1対1の強さでセカンドボールを確保する東北がやや主導権を握る展開となりますが、北海道のショートカウンターからのサイドアタックも効果的です。特に左サイドのMF村上選手と左サイドバックの濱屋選手の攻め上がりが攻撃の起点となり、決定機は北海道が多いぐらいでした。そして迎えた28分にその左サイドからDF葛西選手のパスを受けた村上選手がゴール前に切り込み、角度がない位置から打ったシュートは、右ポストに当たってゴールマウスに吸い込まれました。見事な先制点で前半を終了します。

後半はメンバーを大幅に替えてスタート。大勢は前半と同じ展開でしたが、東北選抜はボランチに熊谷選手(仙台大3年)を投入してから、縦パスが多かった前半と比べ、スムーズにパスが回るようになりました。そして、スピードのある前線が道選抜DFラインの裏を取り始めます。その中でも道選抜は9分、FW山室選手のドリブルシュートが惜しくもゴール左にはずれるなど、チャンスを作ります。先に追加点を奪っていたらまた展開は違ったものとなっていたはずです。

その後、徐々に試合を支配され、後半25分、左サイドを突破されMF石川純選手(東北学院大3年)に同点弾を決められます。さらに29分、今度は右サイドをスピードで崩され、再び石川選手に逆転弾を決められます。試合終了寸前にCKからDF廣瀬選手のボレーシュートが惜しくも右にはずれ試合終了。小粒な道選抜が東北選抜のフィジカルとスピードに耐え切れず押し切られたという試合でした。

同日に行われた2試合目は35分ハーフで両チームともスタメンを大幅に入れ替え行われましたが、移動などのハンディで疲労の色が濃い道選抜に対し、東北選抜が完全に主導権を握り、面白いようにパスを回し試合をコントロールします。道選抜は足が止まり、前線からのプレスがかからなくなり、自陣で守る展開となります。18分に先制され、後半はFW登録の菅原選手をサイドバックに起用するなど東北選抜のスピードに対し、策を練りましたが、開始20秒で失点、11分にも追加され、40分からは長身のDF廣瀬選手をFW起用しパワープレーを敢行しましたが実りませんでした。

結果は道選抜の2連敗となりましたが、個々人の力は、スコアほどの差はないと感じました。しかし、東北の1対1の強さやセカンドボールの奪い合いの執念、連動したプレスは道選抜を上回っていました。道選抜には北海道リーグ得点王の菅原選手がおりましたが、急造チームでもあり、彼を生かすくさびのパスなどが少なく、互いに特徴を生かし切ることができなかった印象です。それでも選手の皆さんは北海道だけでは知ることのできない、自分の実力や立ち位置を感じることができたのではないでしょうか。
デンソーカップでも北海道・東北選抜の監督となる越山監督は「1試合目は北海道の方がパスはつなげていたが、サイドのスピードの差が出た。2試合目はかなり疲れていたようだ」と話します。頭の中では選手は大体決まっているといいます。東北選抜の強さ、スピードに道選抜のテクニックを融合できれば面白いチームができると思います。3月の選考が楽しみですね。

話は変わりますが、14日からの全日本大学サッカー選手権(インカレ)に出場する札大の相手が新潟経営大学(北陸・北信越リーグ第2代表)に決まりました。試合は午前11時から味の素スタジアム(東京)で行われます。

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北海道選抜1試合目スタメン

前半28分、DF濱屋が先制弾を決める

濱屋を祝福する道選抜イレブン

試合終了直前、DF廣瀬がボレーシュートも惜しくもはずれる

今年度の北海道学生選抜メンバー

キムケンの大学サッカー応援コラム⑨

北海道学生サッカー連盟サポーターの「キムケン」です。今回は全日本大学サッカー選手権(インカレ)のプレーオフ取材で仙台まで足を運びました。私用のため、函館から陸路で当日入り。函館は朝から強風と大雨にさらされ、撮影には最悪の状況も覚悟していましたが、東北を南に下るにしたがい、雨は徐々に弱まり、仙台では風は強いものの、雨はポツポツ降る程度で、胸をなでおろしました。

さて、北海道リーグ2位の岩教大は東北リーグ2位の岩手大と対戦。勝ったチームが来月14日からのインカレ本戦に駒を進めます。全国出場の絶対に負けられない試合、ここでもサッカーの面白さ、怖さを思い知らされる劇的な展開が待っていました。
試合は前半の序盤は岩教大がペースを握り、特に右サイドからMF笹原隆平選手(3年)、サイドバックの奈良創平選手(1年)のオーバーラップからのクロスやバイタルエリアのパスワークでチャンスを作ります。10分には奈良選手のパスからFW近藤勝成選手(2年)がファーストシュートを放ちました。それでも長身選手が多く、ディフェンスを5枚並べてしっかり守備ブロックを作り、マークをはめ込んでくる岩手大に対し崩し切るには至りません。逆に、岩手大のロングボールからのパワープレーでセカンドボールを拾われ、押し込まれる場面も目立ちます。それでも33分にはFW伊藤巧貴選手(3年)のシュートがクロスバーを弾くなど惜しい場面を作ります。テクニックとパスワークの岩教大、高さ強さ、運動量の岩手大という好対照なチームの白熱のぶつかり合いが展開されます。しかし39分、自陣でのパスミスを拾われ、ゴール前で混戦となり、岩手大MF吉見拓哉選手(1年)がゴールエリア右サイドからシュート、GK橋本周平選手(3年)が懸命に弾き、MF上原拓郎選手(4年)がクリアしたかに見えましたが、ボールはゴールラインを割っており、先制点を献上しました。
押し気味に展開しながら1点ビハインドとなった岩教大ですが、後半3分、ゴール前で伊藤選手が相手DFを引きつけて芸術的なヒールパスから笹原選手がワンタッチで近藤選手につなぎ、近藤選手が細かいステップとフェイントでDFを振り切り、左足のシュートがゴールネットに突き刺さり同点に追いつきます。まさに細かいパスワークを身上とする岩教大の“らしさ”が出たゴールでした。ここからは完全に岩教大ペースとなります。スピードにやや欠ける岩手大のボランチとDFの間でショートパスを回し、サイドに展開しては低くて速いクロスを送り2トップを飛び込ませます。その中で19分に伊藤選手のシュートはGKのファインセーブに阻まれましたが、チャンスを作り続けます。

ところが、後半30分ごろまで続いた岩教大ペースの時間帯に得点できなかったことで、やや焦りが出てきたのか、攻撃が確実性の低い縦パスが多くなり、そこを拾われ五分五分の展開に押し戻されます。しっかりプレッシャーをかけパスコースを限定し、ロングボールを蹴らせる展開は、むしろ岩手大ペースともいえます。40分には攻撃の駆動輪となっていたボランチの松本鴻太選手(2年)が腰を痛め交代したことで、バックパスなど消極的なプレーが目立ち始めました。一進一退の展開の中、延長戦と思われたアディショナルタイム突入直後の45分、ゴール前からのパスミスを岩手大MF鍵潤平選手(1年)に拾われ20㍍以上のミドルシュートをゴール左上に叩きこまれました。10本に1本入るか入らないかの見事なシュートで、これは相手を誉めるしかありません。残り約2分半、岩教大は必死にボールを前に運びましたが、同点には至らず。終了のホイッスルが鳴った瞬間、イレブンはピッチに崩れ落ちました。号泣、茫然とする選手。そして中心には勝利した岩手大の歓喜の輪。あまりに劇的な展開は、4日の北海道学生リーグ入れ替え戦以上に、勝者と敗者のコントラストが無情なほどに映し出されました。

驚くことに岩手大のシュートはわずか2本。そう、全シュートを得点に結びつけられたのです。ゲームをコントロールしていたのは岩教大ですが、勝負は岩手大がモノにしました。これもサッカーの奥深さです。上原主将は「相手の戦い方は分かっていたし、自陣でのパスミスという課題が最後まで出てしまったのは自分たちの甘さ。2つも同じミスが出ると、勝てないのが全国の厳しさだと思います。でも後輩達はよくやってくれました。自分や4年生の責任です」と涙ながらに振り返りました。4年間の大学サッカー生活がこれで終止符を打ち、上原選手はプロへと駒を進めます。「大学サッカーで得たことは、考えること。サッカーや生活、自分だけじゃなく他人のために考える。この大学じゃなければ、自分はプロ入りできるまで成長できなかった」と感謝しました。
越山賢一監督は「しっかりパスを回せていたし、競り合いも体を張っていた。でも守備が安定していないと勝てない」と総括します。あまりに悔しい敗戦ですが、今回のスタメンは3年生以下が8人という若いチーム。すべてを糧にして来季につなげて欲しいものです。
また、決勝ゴールを決めた岩手大の鍵選手は市立函館高校出身選手です。道産子は全国の大学に散らばって頑張っています。

これで、今季試合を残しているのは札幌大学だけです。インカレでは北海道大学サッカーを代表しての活躍を期待しています。
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前半33分、FW伊藤がクロスバーをたたくシュートを放つ

後半3分、FW近藤が同点弾を決める

同点弾を決め、喜ぶ近藤

同点弾の近藤を祝福する岩教大イレブン

敗戦が決まり、ピッチに崩れる岩教大

キムケンの大学サッカー応援コラム⑧

北海道学生サッカー連盟サポーターの「キムケン」です。4日に北海道学生サッカー連盟の今季最終戦となる、学生リーグ1部2部入れ替え戦がSSAP人工芝グラウンドで行われました。
私は、観戦者としては、入れ替え戦方式の戦いが好きです。プレーする選手にとっては究極の緊張を強いられる戦いとなります。勝つと負けるとでは天国と地獄の差が出てしまう非情な一発勝負。それだけに技術、戦術を越えた魂のぶつかり合いが展開されるのです。それとともに、濃密な心理ゲームの側面もあり、ギリギリの状態にある人間は、時に想像を超えるパワー、感動を観ているものに与えてくれます。Jリーグでも様々なドラマが展開されました。

今回は、まさに入れ替え戦の醍醐味を見せてくれた、第2試合の北海学園大(1部8位、以下、北学園大)と北海道教育大函館校(2部1位、以下、函教大)の試合から取り上げます。試合開始から、互いに激しくプレッシャーを掛け合うため、パスを回すことはままならず、ロングボールを巡る競り合い、そしてセカンドボールの奪い合いで、激烈な肉弾戦が展開されます。1対1の局面でちょっとでも気後れしたチームが劣勢に追い込まれる、そんな展開でした。
それでも、個人技でやや上回る北学園大がバイタルエリアで徐々にパスを回し出し、函教大のDFラインを徐々に押し下げチャンスを作り出します。そして前半31分、左CKからFW廣中啓吾選手(4年)が頭で押し込み先制します。やや北学園大ペースと思われた前半戦でしたが、函教大は「前半は引き気味で守りに重点を置いて、後半勝負」とMF淡中優斗主将(4年)が話すように、失点はしたものの想定内の展開でした。

後半に入ると函教大が徐々に前へ出る圧力を強め始め、シンプルな縦パスでFWやサイドハーフを全力で走らせ、相手DFラインの裏を取る攻撃でペースを取り戻しますが、シュートを打つ形にはなかなか持ち込めません。それでも少ないチャンスを生かし同18分、MF岡本裕士選手(4年)の鋭い右クロスをMF屋京典選手が体ごと飛び込み執念の同点弾を叩き込みます。ここからは互いの意地のぶつかり合いで肉弾戦はさらに激しさを増し再び膠着状態になります。ロスタイムには北学園大がセットプレーで立て続けにチャンスをつかみますが、熱い気持ちが空回りしたのか、DF安田壮士選手(3年)がファールを犯し警告2枚で退場に。
俄然、函教大が有利な状況となりましたが、サッカーは心理ゲームでもあり、10人のチームが勝つパターンも多々あります。この試合も延長戦に入ってから北学園大が激しいディフェンスで応じ、互角の肉弾戦、中盤のつぶし合いが続き、函教大は1人多いアドバンテージを生かせずにタイムアップ。勝負はPK戦にもつれ込みます。
ここでも両チームまったく譲らず5人全員が成功しサドンデスに。運命の8人目、先行の函教大はDF杉本大地選手(2年)のシュートは左ポストに当たり失敗。北学園大はMF鈴木大地選手(2年)が右隅に決め、8-7で緊張感あふれる壮絶な激闘は終止符を打ちました。
喜びを爆発させる北学園大と泣き崩れる函教大。紙一重の勝負でしたが、試合後の光景は、残酷なほどの光と影のコントラストを照らし出していました。
最終節の岩教大戦に続き、スタメン10人を4年生で固めた北学園大。大学生活ラストゲームという底力を見せてくれました。「後半は相手の勢いに押され、本当に危ない試合だったのでホッとしました。ベンチ外のメンバーも応援も含めて全員がひとつになれたのが勝因です」と寺島徹主将(4年)は胸をなでおろします。素晴らしい闘志を見せ、1部残留を決めた戦いは下級生の心に刻み込まれたに違いありません。
対する函教大は、昨年の入れ替え戦でも苫駒大に延長後半で突き放され、1-2で敗れています。現4年生が1年時に2部に落ちて以来、1部復帰に執念を燃やしてきましたが、今回もあと一歩で悲願に手が届きませんでした。「相手が10人になった延長戦で勝負を決められなかった。今は悔しいとしか言いようがないですが、後輩たちが来年はやってくれると信じています」と淡中主将は涙ながらに振り返りました。負けたとはいえ、下を向く必要はありません。死にもの狂いの激闘を見せてくれたグッドルーザーでした。

第1試合の北大(1部7位)と小樽商科大(2部2位、以下、樽商大)は不振を極めた北大のストライカー服部聖仁(3年)が最後に覚醒し、救世主となりました。前半は樽商大の鋭い出足とカウンター攻撃に受け身に立たされ、シュートチャンスも作られます。ここをしのいだ北大は34分にゴール前の混戦を服部選手が押し込み先制。ここから北大は調子を取り戻し、中盤を支配し36分にCKから追加点を奪い、42分にはDF中田訓彰選手の縦パスに服部選手が抜群のタイミングでDFラインの裏に抜け出しGKとの1対1を冷静に押し込みダメ押し。後半29分にもフリースローからFW佐々木司選手(3年)が競り勝ち、そのこぼれ球をまたまた服部選手が押し込み、ハットトリックを達成し、勝負を決定づけました。
 服部選手は今季リーグ戦でわずか1得点。「シュートを打っても入る自信がない」とスランプに陥っていました。しかし、最終戦の前に開き直ることができたといいます。「ここまで落ちたら後は上がるしかない。シュートも思い切って打とうと考えました。悪くても使ってくれた4年生のために最後に役立ちたかった」。4年生とのラストゲームで最高の恩返しができました。榊祥太主将(4年)は「とにかく必死でした。まだ実感が沸きません。気持ちで負けないよう調整してきました。何とか最低限の結果を出して、後につなげたと思います」と安どの表情を浮かべます。緊張感から解放され、様々な思いから涙を浮かべる選手たちの姿が印象的でした。榊主将は4年間を振り返り「サッカー部でたくさんの人と関わることができました。4年間は宝物です。この経験を生かして社会に関わっていきたいです」と話しました。
多くのドラマを生んだ今季の北海道大学サッカーもこれで終了します。4年生は引退し、実質これ以降、新しいサッカー部がスタートします。4年生の皆さん、学連関係者の皆さん、本当にお疲れ様でした。

※全日本大学サッカー選手権の本戦出場を決めるプレーオフ(北海道、東北リーグの2位が対戦)に進出した岩教大の相手が岩手大に決定しました。試合は10日午後1時から仙台市で行われます。取材予定ですので、こちらでレポートをアップできればと思っています。よろしくお願いします。


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激しい肉弾戦を展開する北学園大と函教大

PK戦を制し、喜びを爆発させる北学園大イレブン

1部残留し喜ぶ北学園大

2年連続入れ替え戦で敗退し、泣き崩れる函教大イレブン

北大FW服部選手がハットトリックを決める

試合後、勝利を祝福しあう北大イレブン

北大が1部残留を決め喜びを爆発

キムケンの大学サッカー応援コラム⑦

北海道学生サッカー連盟サポーターの「キムケン」です。大学リーグ後期も最終節を迎えました。時の過ぎるのは早いものです

今回は27日の苫小牧駒澤大学(以下、苫駒大)グラウンドに足を運びました。前日、3位・道都大が札幌大(以下、札大)に敗れたため、すでに岩見沢教育大の2位が決まり、東北リーグとのプレーオフ進出が決定した状況でしたが、やはり、サッカーの神様は気まぐれなものです。入れ替え戦を巡る様々なドラマが待っていました。

第1試合の北翔大と苫駒大戦はスコアレスドローに終わり、6位・苫駒大と7位・北大の勝ち点は2差。北大が勝てば入れ替え戦を回避し自力で1部残留が決まります。第2試合で4位・東海大と対戦した北大は2トップにロングボールを集め、FWが体を張って落としたセカンドボールを拾い、サイドに展開したり、縦パスで東海大ゴールに迫ります。27分にはMF佐藤耀選手(4年)の縦パスに反応したFW服部聖仁選手(3年)がDFを振り切ってフリーでシュート。GKのスーパーセーブに阻まれましたが、明確に主導権を握っていました。「攻撃は練習していたことができました」とDF榊祥太主将(4年)も振り返る展開でした。対する東海大は上位チームと対した時のハイプレスがなく、北大の気迫に押されがちです。

後半も北大ペースのまま、試合が動いたのは23分、MF佐藤景太選手(4年)のシュートが左ポストに当たり、そのこぼれ球を途中出場のFW星野広大選手(3年)が押し込み先制します。自力残留に近づいた北大ですが、そこは東海大もしぶとい。33分に右FKから混戦をFW成瀬光(4年)が押し込み同点とします。しかし、何としても勝たなければいけない北大はゴール前の競り合いから服部選手が落としたボールをボランチ久呉直也選手が豪快に蹴り込み、突き放します。しかし、ドラマはこれで終わりません。北大が9割方勝利をモノにしたと思われた41分、東海大がゴール前正面のFKを得ます。FW埜瀬巧巳選手(3年)の蹴ったボールはゴールバーに当たり、そこから混戦となりDF高橋怜央選手(1年)が押し込み再度同点とします。北大にとってはまさに残り4分の悪夢です。懸命に応援していたベンチ外の部員もさすがに沈黙。そのままホイッスルがなり、入れ替え戦行きが決まりました。
北大が勝ちゲームを取りこぼした、というのが正直な感想です。失点はいずれもセットプレー絡みで、高さがあり、質の高いキッカーがいる東海大にゴール前でのファールは禁物でした。「相手が押し込んできた時に、跳ね返せないのが今季のウチの特徴」と榊主将は肩を落とました。また、消耗して極端に運動量が落ちた選手も見受けられたので、交代のカードを切り、しっかり守る選択もあったと感じました。
試合後はかなりのショックを受けていた北大ですが、内容は決して悪かった訳ではありません。「まず、気持ちを切り替えること。自分達の年代で2部に落とすわけにはいきませんから」と榊主将。11月4日の2部2位・小樽商科大との決戦に挑みます。

第3試合はプレーオフ進出をすでに決めている岩教大と、最下位で入れ替え戦が決まっている北海学園大(以下、北学園大)が対戦しました。大幅にメンバーを入れ替え、互いに4年生主体での試合はド派手な打ち合いとなります。序盤は一方的な岩教大ペースでFW岡井奨悟選手(4年)が6分、19分、22分と立て続けにゴールを決め、ハットトリックを達成します。しかし、そこから気が緩んだのかコンビネーションが合わず、パスミスに乗じて北学園大がカウンター攻撃で反撃、39分、44分と得点し巻き返します。
後半に入ると、岩教育大の動きが落ち、北学園大は28分にDF栃木貴宏選手(4年)がPKを決めとうとう同点に追いつき、32分にはDF安田壮志選手(4年)の左サイドからのクロス気味のシュートが決まり、3点差から大逆転に成功しました。前節まで4得点のチームが2位相手に4ゴールですから、サッカーは分かりません。番狂わせの期待が高まりましたが、逆にサッカーは甘くもありません。37分ゴール前のセットプレーから一瞬のスキを突かれ、壁の裏を抜けた岩教大のMF大地優貴選手(4年)がヘディングシュートを決め、打ち合いは幕を閉じました。
北学園大のMF寺島徹主将(4年)は「入れ替え戦へつなげるため、勢いをつけるため4年生中心で挑みました。岩教大に4点取れたことは自信になります」と手ごたえを得た様子。入れ替え戦の相手は2部1位の函館教育大(以下、函教大)。かつては1部の常連ですから、厳しい戦いとなりますが、岩教大戦が雰囲気を一変させるきっかけになることは間違いないでしょう。1部2部入れ替え戦は11月4日。1発勝負で運命が決まりますから、気持ちのこもった戦いになることは確実です。学連の今季公式戦のラストとなる熱戦にご注目ください。

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後半23分、北大・星野(背番号9)が先制点を決め喜ぶ応援部員に駆け寄る

後半34分、久呉が北大の2点目を挙げる

入れ替え戦が決まり、うなだれる北大イレブン

前半6分、岩教大・岡井が先制ゴール。ハットトリックも達成

後半32分、北学園大・安田がPKを決めベンチは大盛り上がり

プレーオフ出場を決め喜ぶ岩教大

キムケンの大学サッカー応援コラム⑥

北海道学生サッカー連盟サポーターの「キムケン」です。14日の大学リーグ後期第5節で札幌大(以下、札大)が2試合を残して3年連続24度目の優勝を飾りました。11勝1分けの無敗、得点が50、失点が8と圧倒的な強さでリーグを制圧した札大。特に、後期に入ってからは5試合で25得点、そして失点は2と他校が付け入る隙のない強さを見せています。
今回の北海学園大(以下、北学園大)戦でも、序盤からペースを握り、14分にこぼれ球をFW菅原康介選手(3年)が押し込み先制すると、攻撃陣が爆発、28分にFW酒井遼太郎(4年)選手が2点目、34分にはMF山田孝之選手(3年)がサイドから切り込み3点目を決め、試合をほぼ決定づけました。後半はパスミスから幾度かカウンターでピンチを招きましたが、菅原選手が2点を追加しハットトリックを達成。危なげなく完勝しました。

後期は敵なしの強さとなった転機は、大胆なコンバートがひとつの要因でした。知事杯決勝の岩教大戦で、引いた相手を崩しきれず粘りに屈しました。これが今季北海道内公式戦での唯一の敗戦です。3冠(総理大臣杯、知事杯、インカレ)を目指していただけにショックは多大なものがありました。「これからの相手は、引いて守ってくる。引いた相手を崩せないといけない」(橋本監督)という課題が出てきました。そこで、より前でボールを収め起点を作るために、攻撃の中心であるMF菅原選手を左サイドハーフからFWへ、FW酒井選手をMFにコンバートしました。けが人がいたことで、後期が始まる前の練習で試したところ予想以上に機能したといいます。そこから菅原選手はFWに固定され、初戦の苫小牧駒沢大戦で4ゴールと華々しく“デビュー”を飾ると、今回のハットトリックなどゴールを量産し、18ゴールと得点ランクも首位を独走しています。「自分が前にいて、ボールを収めてうまく回せるようになれば機能すると思っていた。ゴールはここまで取れるとは思っていませんでした」と菅原選手は語ります。
とはいえ、今季の目標が「全国で勝利」の札大にとっては、優勝も通過点にすぎません。総理大臣杯ではPK戦で関西学院大に敗れましたが、スコア以上の差を感じたと言います。自分たちの目指しているポゼッションサッカーを相手にやられ、北海道にはないプレッシングの強さも感じました。改めて、全国で勝つためのレベルアップの必要性を思い知らされ、練習にも反映させてきました。出てきた課題をすべて力にして、チーム力は確実にアップしています。「自分が練習メニューなど作っていますが、みんな、よくついてきてくれた。今年は選手の能力も高いし、自信はあります」と工藤主将は意気込みます。
今季の札大は、総合力、選手層の厚さが頭一つ抜け出ていました。小気味良いパスワークの岩見沢教育大(以下、岩教大)、個人技とサイド攻撃の道都大と有力校には特徴がありますが、札大はそれに加えて、高さと速さも兼ね備えていました。さらにディフェンスラインからのビルドアップ、そして、鋭く速いプレッシングなど、組織力も他チームより一日の長がありました。夏を越して大きく成長した札大のインカレ(12月14日~)での活躍が楽しみになってきました。
さて、プレーオフ出場をかけた2位争いに注目は移りますが、14日は2位・道都大と3位・岩教大の直接対決がありましたが、結果は岩教大が5-0と予想外の大勝を収めています。こちらも、札大と同じように思い切ったコンバートが功を奏しました。
コンサドーレ札幌へ加入するボランチの上原拓郎主将(4年)を、この日は大学では初となる左サイドハーフで起用。前節の北翔大戦で攻め上がったサイドバックのスペースをカウンターで突かれ失点し敗戦を喫した反省から、サイドの守備の強化と、前で起点を作るための作戦でした。松本鴻大選手(2年)と笹原隆平選手(3年)のダブルボランチも「走れるし、運動量があるからいつかは組ませたかった」と越山賢一監督は言います。加えて、好調のMF大地優貴選手(4年)の先発起用のための布陣でもありました。
すべてがズバリと嵌まり、大地選手が前半16分の先制など2得点。上原選手も前で起点を作り、さらに大きなコーチングで回りを鼓舞していました。「久々にスッキリする勝ち方だった」と越山監督。「北翔大に負けて、かなり気を引き締めなおしました。試合に出られない選手もいる中で、出ている選手が責任を持ってしっかりやらなければいけない」と上原主将は強調します。
道都大もDF佐々木航選手(3年)をFWで起用し、通常の4バックから3バックで挑みましたが、先に失点してズルズルと引きずってしまう今季の悪癖が出てしまいました。技術は高いのですが、チームとしての一体感がやや足りないという印象があります。4位・東海大も敗れましたが、岩教大は次節が札大、24日は東海大との試合があり、最後まで激戦が続くでしょう。寒くなってきましたが、大学サッカーはまだまだ熱いです。
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ハットトリックを決めた札大・菅原の1点目

2点目を決めたFW酒井と菅原が抱き合う

優勝を決め喜ぶ札大イレブン

先取点を決め喜ぶ岩教育大・大地

左サイドハーフでプレーした上原主将

前半23分、岩教育大の2点目を決めたFW伊藤巧貴

キムケンの大学サッカー応援コラム⑤

北海道学生サッカー連盟サポーターの「キムケン」です。皆さんもご存じだと思いますが、うれしいニュースです。岩見沢教育大(以下、岩教大)の主将であるMF上原拓郎(4年、札幌U-18)のコンサドーレ札幌加入が決まりました。岩教大からは初のプロ選手の誕生で、北海道内大学出身選手としては2008年に水戸ホーリーホックに加入した星野圭介さん(道都大卒)以来となります。さらに、北海道出身者となると04年に同じく札幌に加入した河端和也選手(札幌大卒、現FC琉球)以来となります。
札幌U-18に所属していただけに、大学サッカーを経ての“凱旋”となりますが「正直、戻ることは厳しいと思っていましたが、プロになることが夢だったので素直にうれしいです」と話します。天皇杯2回戦(9月7日)で札幌と戦った事が転機となったのでしょうか、そこから札幌の強化部から話を受け練習に参加。そして4日の発表と、とんとん拍子に話が進みました。一般企業への就職が内定していましたが、夢だったプロ選手を選択しました。
岩教大では1年生の時からボランチとして攻守でゲームを作る役割を担っています。堅実なパスさばきを信条としている選手です。小学、中学時はアンフィニMAKI.FCに所属し、札幌U-18入りしました。そこからトップチーム昇格を目指していましたが、叶わず、「心が折れかけた」と吐露します。しかし、逆に大学に入学したことが上原選手にとっての成長につながったといいます。
プロとは違い、練習環境など必ずしも恵まれているとはいえない中で、越山賢一監督やチームメートと出会い「サッカーは自分で考えるもの。自分だけじゃなく、チームや仲間のことも考えてするものと知った」といいます。ユースのように恵まれた環境の中でプレーするのとは違い、学生サッカーは部の運営から、練習や戦術面でも自分たちで考え、決定していく主体性や自主性が求められます。もちろん生活面でも自ら律していかなければなりません。ピッチ上のプレーに専念できたユース時代よりも、多面的にサッカー、大学スポーツに関わる中でサッカーの奥深さ、面白さを知り、心身ともに成長していったと想像します。

サラリーマンの道を蹴って、プロの厳しい世界に身を投じる上原選手。同じ札幌U-18の同期には古田寛幸、阪南大から札幌入りする工藤光輝選手がおり、さらに後輩も多数昇格し、主力で活躍しています。「プロに入れば先輩も後輩もない実力社会。まずは試合に出てスタメンを獲って、そして日本代表を目指したいです」と目を輝かせました。

しかし、札幌入り決定後の公式戦初戦となった大学1部リーグの北翔大戦で苦杯を喫しました。しっかりと守備ブロックを作る北翔大に対し、主導権を握るもののビルドアップがうまくいかず攻めあぐみ、DFラインや中盤でボールを奪われサイドバックが上がったスペースを、鋭いカウンター攻撃にさらされます。前半40分に先制するものの、後半18分にFKから同点に追いつかれ、同38分にはカウンターから途中出場の嶋村清美選手(2年)逆転弾を決められ敗戦しました。「引いてきた相手を崩せなかった。ゲームの中で流れを変えられなかったのが課題。もう1試合も落とせない」と反省し、気を引き締めました。越山監督は上原選手の札幌入りと今回の敗戦を受けて「上原は安定してゲームを作れるが、今日の出来なら並の選手」と辛口エールを贈りました。

大学リーグは札幌大が独走しておりますが2位争いはますます白熱しています。6日のリーグ戦は3位・岩教大のほかに2位・道都大学が4位・東海大に敗れました。これで3チームが勝ち点1差で団子状態となりました。
今季は前線からのハイプレスを身上とする東海大。同大の野球部の大応援を力に、道都大の個人技とパスワークを封じ、セカンドボールを奪取し次々とカウンター攻撃を仕掛けゲームを支配します。前半21分にFW斉藤純太選手(3年)のヘディングシュートで先制。35分に道都大FW金子顕大選手(4年)に決められ追いつかれますが、後半10分FW埜瀬巧巳選手が左サイドから見事な25mのFKを決め、その後も道都大の猛攻をしのぎ、アディショナルタイムには埜瀬選手のフリックから小野寺惇選手(2年)が裏に抜け出しダメ押しの3点目。足をつる選手が幾人も出ながら走りまくった東海大は試合終了のホイッスルを聞くと喜びを爆発させました。
公式戦で道都大に初勝利という、サッカー部の歴史を刻む1勝に曽我研郎監督は「前半は良かった。守備プランがうまくいきました。残り試合もすべて全力でいきます」と話します。DF飯山雄介主将(4年)は「うちは走りが課題ですが、野球部の応援のおかげで今日は走りきれました」と謙遜しました。とは言いながらも全員のハードワークにより成り立つ東海大の戦術。週に1度は走り込みだけの日を設け、走力を鍛えています。「どの大学にも走り負けない自信はあります」と飯山主将。札幌大、道都大、岩教大の“3強”に割って入る力をつけつつあることは間違いないでしょう。
今年のインカレ(全日本大学選手権)はプレーオフが採用され出場校が16校から24校に増えます。北海道リーグの2位は東北リーグ2位とのプレーオフを行い、勝てば本戦出場ができるだけに、最後まで火花散る戦いが展開されます。14日は岩教大と道都大の直接対決もあります。北海道の大学サッカーにぜひご注目ください。
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札幌入りが決定した岩教大・上原主将

岩教大に勝利し喜ぶ北翔大

東海大・嶋村が後半アディショナルタイムにダメ押し弾を決める

嶋村のゴールに喜ぶ東海大

キムケンの大学サッカー応援コラム④

北海道学生サッカー連盟サポーターの「キムケン」です。仕事の都合で久々の更新となりました。気付いてみれば、知事杯、学生リーグの前期が終わり、9月に入り秋の気配が漂ってきました。
今回は北海道学生サッカーリーグ1部の後期第1節が行われた苫小牧駒澤大学グラウンドに足を運びました。

やはり注目は前期無敗(6勝1分)で折り返した札幌大(以下、札大)でしょう。相手の苫小牧駒沢大には前期リーグ開幕戦で引き分けていますが、この日は攻撃陣が大量8ゴールの大爆発。この「倍返し」の立役者はFW菅原康介(3年)選手で、4得点3アシストと大車輪の活躍を見せました。
前半7分札大のシュートを苫駒大GKが弾き、そのこぼれ球をダイレクトで蹴りこみ先制弾、13分には縦パスにタイミングよくDFラインの裏を抜け2点目、18分にも右クロスをボレーシュートでハットトリックを達成。後半44分にも左サイドから切れ込み4得点目。アシストを含めば7得点に絡み、完勝の立役者となりました。
今季の公式戦はすべてサイドMFでの出場でしたが、今回初のFWで器用されいきなり結果をだした菅原選手は「MFもFWもどちらもできる。ボールをたくさん触って調子を上げるタイプなので、みんなが縦パスをたくさん出してくれてやりやすかったです」と話します。くさびのパスを受けて簡単にさばいたり、自ら仕掛けたり、サイドに開いてクロスやパスを配給したり、DFラインの裏を抜けたり、すべてのプレーが高い次元でまとまっている、オールラウンドプレーヤーとして攻撃の大黒柱となっています。「自分としては、相手のいやなスペースに入ってボールをさばいたり、ドリブルを仕掛けたりするのが特徴だと思います」と話します。目標はプロ、そして日本代表と大きいですが、コンサドーレ札幌U-18時代の先輩後輩が世代別の日本代表に続々と選出されている現実もあり、決して不可能ではないはずです。
 DF工藤駿主将(4年)は「今週の練習で康介をトップで試したら、2トップのコンビもいいし、すごくしっくりきた。最初から結果を出してくれたし、サイドよりも動きが制限されない」と嬉しい誤算のようです。札大に新たなバリエーションが誕生の予感です。
この後期リーグ戦が札大にとっては「再スタート」。総理大臣杯を制し、リーグ前期を無敗で乗り切るなど、安定した強さを見せていますが、先月は総理大臣杯の全国大会で関西学院大に、スコア以上の力の差を見せられPK戦で惜敗、知事杯決勝でも岩見沢教育大(以下、岩教大)に敗れ天皇杯出場を逃しました。北海道では3冠(総理大臣杯、知事杯、学生リーグ)を奪取し、全国で勝つことが目標でしたが、3冠の夢は破れています。その意味で残された大学リーグに賭ける意気込みは強いようです。「悔しさもあるし、今はチームが一番まとまっていると思う」と菅原選手が語れば、工藤主将も「後期は全勝で乗り切って、全国での勝利を目指したい」と意気込みます。北海道では総合力、選手層で頭一つ抜け出している印象です。気の緩みもなく、他チームにとっては引き続き難敵となりそうです。

そのほかのゲームでは札大を追う2位道都大が北翔大に苦戦。試合の入り方が悪く前半開始早々1分に先制されます。守備で受け身になり、簡単に相手FWにボールを収められ、主導権を握れずチグハグな展開となりました。後半も北翔大の粘り強いマンマークに苦しみ1-3と敗色濃厚に。しかし後半途中からDF佐々木航選手(3年)をFWに上げるなりふり構わぬパワープレーで後半38分、41分と連続ゴールで何とか引き分けに持ち込みました。さすがの底力を見せましたが、リーグ制覇を目指すには痛いドローです。個人能力が高く攻撃力があるだけに、「いつでも得点できると思ってしまうのかな。今年は受け身になるパターンが多い」と田代正信監督は首をかしげます。試合の入り方、エンジンのかかりが遅いことを克服することが反撃への課題でしょう。2位争いは道都大、岩教大、東海大の三つ巴で混とんとし、下位チームも前期の苫駒大、そして今回の北翔大のように上位チームを脅かしています。秋の大学サッカーも目が離せません。

写真説明

前半11分、札大・菅原(後ろ向き)が先制点を決めチームメイトに祝福される

前半13分、菅原が2点目を決める

2得点目後、喜ぶ菅原

後半44分、4得点目を挙げる菅原

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キムケンの大学サッカー応援コラム③

北海道学生サッカー連盟サポーターの「キムケン」です。北海道も一気に暑さが増してきました。特に思うのは陽射しの強烈さです。グラウンドで撮影していると、あっという間に日焼けしてしまい、早くも額と、薄毛が進行している頭の皮がむけてしまいました。選手、スタッフのみなさん、十分な暑さ対策と水分補給で夏を乗り切ってください。

さて、北海道大学サッカー、今年度最初の大イベントとなった第37回総理大臣杯。8日に準決勝、10日に決勝が行われ、名門・札幌大(以下札大)が3年ぶり23回目の優勝を果たしました。決勝は事情により観戦できなかった私ですが、今大会の札大の印象は、シンプルで堅実、うまいより「強い」という印象でした。4試合で10得点無失点という内容が光ります。特に準決勝の北大戦は90分間にわたりボールを支配し、北大をわずか1本のシュートに押えた圧巻の内容でした。

攻撃ではシンプルに手数かけずにパスを回し、FW陣がDFラインの裏をとり多くのチャンスを作りだしました。セットプレーも高さがあり、キッカーの高い精度のキックと、数多くのサインプレーがあり、対戦校を大いに苦しめていました。岩見沢教育大戦(以下岩教大)の決勝点もセットプレーからと聞いています。工藤駿主将(4年=北海高)は「昨年のインカレで対戦した早稲田大からヒントを得た」といいます。全国大会でも大きな武器になるでしょう。守備もDFラインを高く保ち、ボールを奪われた後すぐに奪い返す切り替えの早さが徹底されている印象です。「全国大会に立つのがスタートライン。全国で勝てるチームが目標です」と工藤主将。昨年のインカレでは浜松大に勝利し、強豪・早稲田大に1-2で惜敗しております。8月という灼熱地獄の大阪で試合というのは北海道のチームには厳しいですが、何とか8強の壁を破り、4強進出を期待しております。

3連覇を逃した岩教大ですが、札大とは力の差はほとんどなかったように思います。コンディショニングと現時点のチームの完成度で、札大がわずかに上回ったのかもしれません。ボランチの主力2人をケガで欠いたこともあり、今大会は特徴であるアイデアあふれるショートパスの交換から崩す展開になかなか持ち込めませんでした。4回戦の東海大戦、準決勝の道都大戦とも押し込まれる時間帯が長かったですが、「チームに流れがこない状態でも勝ち切れたのは成長の証」と上原拓郎主将(4年=コンサドーレ札幌U-18)は前向きにとらえていました。特に道都大戦ではサッカーの醍醐味を堪能できる壮絶な展開となりました。1-1から後半43分に道都大が勝ち越し、勝負は決まったと思われましたが、アディショナルタイム1分に、途中出場のFW岡井奨吾選手(4年=北星学園大付属)が執念の同点ゴールを決め、PK戦で勝利をもぎ取りました。苦戦の連続でしたが、その経験は確実に糧となっているでしょう。

惜しくも、準決勝で敗れた北大は札大との力差はありましたが、最後まであきらめず走る試合ぶりは好感が持てましたし、道都大は個人能力、攻撃時の迫力はトップクラスであることは言うまでもありません。

今大会を観戦、取材して感じたことは、しっかりパスをつなぐチームが多いこと、サッカーを楽しんでいること、これが高校年代までと最も違う特徴ですが、学生主体で部を運営し、練習や戦術を決めていることです。上から押し付けられるのではなく、自分たちで考えて責任を持って進めていくこと。大学サッカーを通して、社会人になる前に大切な勉強にもなっていると思います。

長文になってしまいました。次は22日から1部リーグ戦が始まります。学生の熱い戦いはまだまだ続きます。
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前半4分、先制弾を決めたDF串橋剛志選手を祝福する札大イレブン

前半21分、札大のDF工藤駿選手が2点目を決める

後半アディショナルタイムに同点に追いつき喜びを爆発させる岩教大イレブン

PK戦を制し、ベンチメンバーも含め全員で喜び合う岩教大

キムケンの大学サッカー応援コラム②

北海道学生サッカー連盟サポーターの「キムケン」です。6月に入り、日中は初夏の陽気となってきましたが、朝晩はまだまだ肌寒い毎日。ですが、大学サッカーは熱い戦いが展開されています。第37回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント北海道大会は佳境を迎え、1日に3回戦、2日に4回戦が行われ、4強進出校が決定しました。

ピックアップするのは4回戦の北大-北海学園大(以下、学園大)の試合です。昨年の学生リーグ5位と4位という実力拮抗のライバル同士。前半はロングボールを主体にチャンスを作る北大ですが、相手ゴール前でのパスミスも多く、学園大がカウンター攻撃で反撃する一進一退の展開となります。均衡が破れたのは後半11分、学園大のFW廣中啓吾選手(4年)がドリブルで持ち込み先制。しかし、ここから北大が反撃20分に北大のFW服部聖仁選手が(3年)が相手DFを振り切り同点弾を決めます。その5分後には左CKから相手の裏をかくトリックプレーでこぼれ球をDF榊祥太主将(4年)が執念で押し込み逆転。完全に勢いに乗った北大は、その後2点を追加し見事な逆転勝ちを収め、久々の4強進出を決めました。

「先制されたのは反省点ですが、強い相手に先制されて逆転したことはなかったので、そこは成長したと思います」と榊主将は笑顔で振り返ります。監督など、指導者不在で、すべては学生が部を運営するのが伝統の北大。戦術や練習法などは主将を中心に決めていきます。全員がよく走るサッカーに、指導者不在はみじんも感じさせません。「皆サッカーがやりたくて集まっているし、気が緩むことはないです。先輩方が築いてくれた伝統を受け継いで、学生が主体になって全員で作り上げています」(榊主将)。学生連盟も学生が中心となって運営されていますが、毎年、北大からは2人の学生理事が選出され、運営の中心となって奔走しています。

準決勝の相手は優勝候補の一角の札大。昨年のリーグ戦では前期1-7、後期1-2と敗れている相手。目標として「大臣杯は厚別で試合をする(4強)、リーグ戦3位」を掲げている北大。いわゆる、近年の「3強」といわれる岩見沢教育大、道都大、札大の一角を崩すことを目指しています。3強以外のさらなるレベルアップも北海道大学サッカー界の底上げとなりそうです。

ほかの3試合は、札大が堅実なサッカーで苫小牧駒沢大を4-0で下し、3連覇を目指す岩見沢教育大は東海大の激しいプレスとフィジカルに苦しみながらも3-1で粘る東海大を振り切りました。道都大は攻撃陣が爆発し、FW金子顕太選手(4年)のハットトリックなど6ゴールを挙げ北翔大に完勝しました。3強と北大が残った準決勝は8日、厚別公園競技場で行われます。乞うご期待。

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写真説明
①後半25分、逆転ゴールを決め、喜ぶ北大の榊祥太主将(中央)
②後半27分、北大3点目を決め、指を空に突き上げるMF池上慧介選手
③試合後、4強入りにベンチで喜び合う北大イレブン
④札大-苫小牧駒沢大 後半10分、札大3点目を決めるMF福永貴弘選手
⑤岩見沢教育大-東海大 後半33分、東海大DF2人を交わし岩見沢教育大3点目を決めるMF松本鴻太選手
⑥道都大-北翔大 ハットトリックを達成した道都大のFW金子顕太選手

キムケンの大学サッカー応援コラム①

初めまして、私は北海道学生サッカー連盟のサポーターの「キムケン」と申します。現在はフリーランスとして活動しておりますが、以前は某メディアで記者をしており、学連の皆様には一方ならぬお世話を受けました。今季は、選手の皆さんやそれを支える方々の活動を写真や原稿を当HPにアップし紹介できればと考えております。乱筆乱文でご迷惑おかけすることもあると思いますが、よろしくお願い致します。

例年以上に寒さを感じる北海道ですが、待ちに待った大学サッカーのシーズンがようやく始まりました。第37回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント北海道大会が、18日から開幕しました。

今回取り上げるのは、新規参入した、札幌大谷大学です。昨年、同大学が社会学部と芸術学部の新設したことがきっかけで、今季、サッカー部が創部されました。部員数は社会学部の1、2年生13人で競技経験が初めてという部員も5人います。
4月から本格的にスタートし、練習場の確保など苦労しながらも、18日に記念すべき公式戦初戦を迎えました。

会場は苫小牧駒澤大学グラウンドで対戦校は北海道薬科大学です。試合は道薬科大学が押し気味の展開で進みますが、大谷大学は自陣ゴール前での粘り強いディフェンスで決定的なチャンスを与えず、膠着した展開に。しかし、前半42分、スローインからのこぼれ球をMF横山慶士朗選手(1年)がミドルシュートを決め先制します。「攻めきれていなかったので、勢いをつけるために1本シュートを打っていこうと思いました」。歴史的な先制点です。後半8分にもMF丸猛選手(2年)が見事なFKを決めリードを広げます。その後も、道薬科大学の反撃を必死に抑えますが、疲労からか、足が止まり後半33分から立て続けに5失点を喫し、無念の逆転負けとなりました。

公式戦初戦は敗戦ということになりましたが、収穫、課題がともに出た一戦となったのではないのでしょうか。主将の三浦昂大選手(2年)は、「思ったより戦えた、というのが一番の感想です。萎縮すると思いましたが、ゴールもできましたし、少しずつサッカーに慣れてきていると思います」と語りました。ユニフォームも試合前日に届いたという状況で、サッカーの公式戦が初めてという選手も多く、練習試合も1試合という中で、後半30分過ぎまでリードできたことは大きな自信にもなったことでしょう。

今季から就任した佐藤祥平監督(26)は、「勝ち負けの前に、一人ひとりの顔が見える、強く愛されるチームを目指していきたいです」と話します。勝敗も大事ですが、クラブ活動を通じて、立派な社会人として成長することも、大学スポーツの役割だと思います。学連に所属する他大学の仲間と切磋琢磨しながら、今後の発展を期待したいものです。
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写真説明①前半42分に先制し喜ぶ札幌大谷大イレブン
②後半8分にFKを決めた丸猛選手(後ろ向き8番)
③前半7分ゴール前で三浦主将がファウルを受ける。これが2点目のきっかけに
④逆転負けに、肩を落としながら道薬科大学と握手をかわす、札幌大谷大イレブン

全日本学連 基本理念の改訂について
圧縮版カラーA4)全日本学連宣言(14年3月).pdf

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